話題のモキュメンタリーから幻の英国ホラー短編集まで… 秋の夜長に読みたい怖い話6選【書評】
H・R・ウェイクフィールドが手掛けた幻のホラー短編集『ゴースト・ハント』
海外作家のホラー小説は、国内作品とはまた一味違った恐怖が楽しめる。中でもイギリスを代表する怪奇作家、H・R・ウェイクフィールドの短編集『ゴースト・ハント』(創元推理文庫/東京創元社)は、今だからこそ読んでほしい1冊。というのも『ゴースト・ハント』は2012年に文庫化されたのだが、長らく品切れ状態が続き入手が困難に。
しかし2024年4月から開催されている「東京創元社創立70周年フェア」にて記念復刊されている。その中から、表題作となっている「ゴースト・ハント」を紹介しよう。同作は、30人にも及ぶ自殺者を出したという異様な来歴の邸宅が舞台となった物語。この家をラジオ番組「ゴースト・ハント」の司会を務めるトニー・ウェルドンと、心霊研究の大家であるミニヨン教授が探索することに。 そこで彼らに襲いかかる恐怖の数々が綴られていくのだが、ラジオ中継という設定なので読者はトニーたちが体験する恐ろしい出来事をラジオ感覚で知ることとなる。まるでリアルタイムに放送されているような臨場感、そして英国怪奇小説ならではの上品さ。国産のホラーに飽きてきてしまったという人にもオススメだ。
嘘か真かゴーストの目撃情報を集めた『世界の幽霊出現録』
ホラーを構成する上で基本とも言えるのが、幽霊の存在。なぜ怖いと思うのか、それはおそらく実在しているのかどうか分からないから……ではないだろうか? そんな幽霊の目撃情報を集めたのが、2021年刊行の『世界の幽霊出現録』(ブライアン・インズ:著、大島聡子:訳/日経ナショナル ジオグラフィック)だ。
『世界の幽霊出現録』には、紀元前から現代まで各地に残る幽霊の目撃情報が収録されている。例えば17世紀初めにスコットランドのファイビー城で何度も目撃されたという光る女性の幽霊(グリーン・レディー)や、1977年から78年にかけてイギリスで発生したポルターガイスト事件「エンフィールドの魔女」など。 それぞれ新聞や手紙、報告者といった残された資料をもとに経緯から結果までが解説されている。果たして幽霊は実在するのか、その重大な手がかりが見つかるかもしれない。 いずれも秋の夜長にピッタリな作品ばかり。刺激的な恐怖を味わいたい人は、ぜひチェックしてみてほしい。 文=ハララ書房
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