話題のモキュメンタリーから幻の英国ホラー短編集まで… 秋の夜長に読みたい怖い話6選【書評】
作者の巧みな表現力が、読者にリアルな恐怖を感じさせてくれるホラー小説。文章ならば大丈夫と侮って軽い気持ちで読んだつもりが、想像以上のリアリティで震え上がってしまったという人もいるのではないだろうか? 今回は怖くて怖くてたまらないのにページを捲る手が止まらない、そんな恐怖の虜になってしまう「怖い話」が収録された本をご紹介したい。 まとめ記事の目次 ●フェイクドキュメンタリーQ ●お前の死因にとびきりの恐怖を ●災厄の絵画史 ●六人の笛吹き鬼 ●ゴースト・ハント ●世界の幽霊出現録
YouTubeで大きな話題を呼んだモキュメンタリーホラーの金字塔『フェイクドキュメンタリーQ』
YouTubeで絶大な人気を誇る「フェイクドキュメンタリーQ」。昨今流行しているモキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)ホラーのパイオニア的存在として知られるチャンネルで、本稿で紹介するのは2024年7月に刊行された書籍版だ。6万部突破し、12の「恐怖動画・音声QRコード」が付いた体験型のホラー本になっている。
同書は「この人、行方不明」というテーマのもと、チャンネル内で人気の高い動画を文章化したホラー短編集。テレビスタッフを呪った「見たら死ぬ呪いのビデオ」の行方を新たに発掘する様子を描いたり、エレベーターで失踪した女性がカメラに向かって何を訴えていたかが明らかになったり……。動画とはまた違う恐怖と、考察要素を含んだ1冊となっている。 さらに動画未公開の書下ろし作品も2作収録されているため、初見の人はもちろん、すでに本家を視聴済みという人にもオススメだ。
今までの怪談小説を覆す!? 新感覚のホラーモキュメンタリー『お前の死因にとびきりの恐怖を』
物語の発端は、文芸部の片隅で見つかったUSBメモリ。そこには、ある男子学生の「死」に関する情報が集められている。男子学生の死因は「自殺」とされているが、発見現場には不可解な点がいくつか残されていた。睡眠薬の錠剤とともに床に散乱しているビリビリに破かれたお札らしき何か、口内に絡みついた自身の毛髪……。それらの痕跡は、まるで恐怖に苦しんだ結果、超自然的な儀式に手を染めたかのようで――。
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