「『普通』のモノサシで障害児の家族を悲しませない商品作りを」子どもの特性に合わせて成長の記録ができる「育児ノート」に込められた思い
障害児とひと言で言っても、症状はさまざまです。障害の重さに関係なくできるだけたくさんの方に使ってもらえるノートにしたかったので、健常児のお母さんを含めて100人近くのお母さんたちに実際に使用してもらい、アンケートをとって開発に至りました。
■「障害児の家族」に寄り添う商品が少ない ── 販売開始後の反響はいかがでしたか。 山崎さん:たくさんのメディアに取り上げていただいたおかげで、全国から大きな反響をいただきました。「こんな育児ノートがほしかった」という肯定的なご意見ばかりでホッとしました。発売から3年になる今も毎日のように、メールなどで感謝のお言葉をいただいているんですよ。
── 同じ「悲しみ」を感じていたお母さんたちがたくさんいたんですね。 山崎さん:昔の、育児ノートを前に苦しんでいた自分にも届けられた気がしてうれしかったです。あるお母さんからは「cocoeの育児ノートが、子どもの障害を受け入れるきっかけになった」という声をいただきました。それまでは苦しかった病院での面会が、わが子が頑張って成長していることを実感したことで、もっと会いたい、成長を見たいと思えるようになったそうです。その子自身の成長に気づけることは、親にとっても、前を向く力を与えてくれるのだと実感しました。
■服やバッグと同じように楽しく選べる福祉用品を ── cocoeでは、育児ノートのほかに、ベビーカーやバギーに取り付け、車いすとして使っていることを周囲に伝えられる車いすマークホルダーなどを開発されています。 山崎さん:いっくんが、今よりも体が小さかったころ、車いすではなくベビーカーを使っていたんです。大阪の病院でのリハビリに通うために混んだ電車に乗っていたら、隣に立っていた人から「ベビーカーたためよ」とボソッと言われてしまって…。「歩くことができないいっくんは車いす代わりにベビーカーを使っているのに」という悲しい気持ちと、「でも事情を知らなければ邪魔に感じられても仕方ない…」という経験から生まれた商品です。