大創産業の売上高が過去最高の6249億円に。「DAISO」のEC・SNSのデジタル戦略とは?
「DAISO」を運営する大創産業の2024年2月期の売上高は前期比6.0%増の6249億円と過去最高だった。一般向けECによる販路拡大や出店強化、出店形態多様化などが売り上げ増に貢献したという。
大創産業は2020年に企業向けのECサイトを開設。2021年5月に一般消費者向けのまとめ買いが可能な「オンラインショップ」、1個から購入できる「ダイソー・ネットストア」を開設。コロナ禍を経て高まったネットショッピングのニーズにも対応してきた。2024年2月末時点でDAISO公式Instagramのフォロワー数は187万人を突破。ECサイトや店頭への誘導に成功している。 また、来店顧客に対し店頭での商品撮影を推奨し、消費者による商品紹介画像・動画が各種SNSに投稿され、消費者による情報の広がりが生まれている。2023年12月にはファンサイト「DAISOの輪」を開始、ファンによる商品開発の意見交換ミーティングなどを行っている。 大創産業では「DAISO」、「Standard Products」「THREEPPY」の3ブランド展開に注力。多様化するニーズに応え売上拡大に大きく寄与した。3ブランドの同一テナントへの同時出店、既存のDAISO店舗の改装による「Standard Products」「THREEPPY」の出店強化などの積極的な戦略を進めている。 商品開発においては、推し活グッズやコスメ、ガジェット、クラフトや釣りなど趣味趣向品を強化しリピート来店を獲得した。「Standard Products」では、100円均一の型を破り7割を300円に価格設定し、取り扱う商品の幅を広げることに成功。2024年2月末時点で全国100店へと出店を拡大した。金属加興行業が盛んな新潟県燕市のカトラリーや、刀剣づくりの歴史がある岐阜県関市の包丁など、地域産業とのコラボレーション商品が人気を得たという。 2024年2月末時点で「DAISO」「Standard Products」「THREEPPY」の国内店舗数は4341店。前々期の4129店から約200店を増やした。ホームセンターやスーパーマーケットへ出店し、店舗側のレジを活用する「レジ流し」など、地域特性や規模にあわせた多様なスタイルをとることで出店を拡大している。 物流戦略も強化。2023年7月には神奈川・平塚に大型物流センターを開設。自動化を進めた最新の倉庫を整え、課題となっていた出荷キャパシティを拡大、安定的な商品供給体制を整え、売上拡大の基盤となっている。2024年7月には、マレーシアに約12万平方メートルの大型自動倉庫「マレーシア新 GDC(Global Distribution Center:広域へ配送する在庫保管型物流センター)」を着工。2027年春の稼働を予定しているという。