昼寝前にコーヒーを飲むと、目覚めがよくなるってホント?
睡眠前にカフェインを摂ることは、一見好ましくないように思えるかもしれない。しかし、「la sieste caféinée(カフェイン昼寝)」の愛好者によると、この組み合わせは真の活力をもたらすという。ふたりの専門家に話を聞いてみよう。 午後2時、身体がだるいとしよう。この状況では、一般的にふたつの解決策がある。数分間眠るか、コーヒーを飲むか、のいずれかだ。しかし、その両方ともやってみる選択は考えられないだろうか? 信じられないかもしれないが、TikTokのフォロワーによると、「コーヒー昼寝」または「ナップチーノ」(英語のNAP(昼寝)とカプチーノの短縮形)とも呼ばれる、この昼寝前にカフェインを飲むという新習慣は、試す価値があるという。 ではそのやり方は? 寝る時刻の約20分前に、カフェイン入りの飲み物を摂るだけでいい。TikTokユーザーの@justbrandonvuが昨年5月にシェアし、現在610万回以上再生されている動画では、「カフェイン昼寝」のメリットが称賛されている。カフェインを事前に摂った昼寝は、頭をリフレッシュし、目覚めた時のぼんやりした状態を消し去るほどの活力を与え、集中力を高めるという。しかし、それは本当に効果があるといえるのだろうか?
科学的根拠のない経験から生まれた新習慣
通常、私たちは眠りから目覚めたときに、不機嫌になったり、ぼんやりすることがある。睡眠惰性または睡眠の酩酊状態と呼ばれるこの一時的な感覚は、覚醒の衝撃をやわらげる働きがあり、身体が徐々に目覚めることを助ける。これが、「昼寝の前にコーヒーなどの神経を刺激する飲み物を摂取すると、この状態がより早く解消される可能性がある」と、睡眠と専門とする神経科学研究者のブライス・ファラウト氏はコメントしている。 一方で、国立保健医療研究所(INSERM)の研究主任で、コーヒーの健康への影響を専門とするアストリッド・ネーリグ氏も、カフェインの興奮効果を認めている。「カフェインを摂ると、体中に広がり、30~45分後に脳内でピークに達する」とネーリグ氏。「こうして30分が経過する頃には、注意力と集中力の向上、反応時間の短縮、認知機能の向上など、期待通りの効果がもたらされることに気がつくでしょう。しかし、昼寝前にカフェインを摂るという習慣は、これまで科学的に実証されたことはありません。カフェインを含む昼寝の効能は、あくまで経験に基づくものであり、実際に科学的根拠はないのです」と、ネーリグ氏は強調する。