“地元で何かしたい人”が大勢いないと、生活圏内は面白くならない。だから僕はこの場所をつくった。徳島県脇町の「うだつ上がる」
うだつ上がるの2階。家具のショールーム(graf)であり、奥はギャラリーになっている。
「もう一つ、僕の生活圏を楽しくするには、僕以外にも“何かしたい人”が沢山いないと面白くならないなと。この辺りでは、やりたいことより安定した仕事を選ぶ若い人が多くて、でも徳島には何もないって週末は県外に遊びに行っちゃう。それなら地元を遊びに行きたい町にする方が楽しいやんって。うだつが、そうした“何かしたい”を叶えられる場所になったらいいなと思ったんです」
「うだつ上がる」があったから、徳島に戻ってきた
いま、「うだつ上がる」は地元の20~30代を惹きつけ、地域内外の人が行き交う場所になっている。出会いの場というだけでなく、新しいことに挑戦できる場。ただ仲の良い人たちと過ごすだけではなく、ほどよく緊張感のある場でもある。
では、どんな風に、みんなここに集まってくるのだろう。 たとえば、脇川裕多さん(31歳)の場合。実家は同じ美馬市の老舗和菓子店で、20代のころから神戸、東京へ出てパティシエの仕事をしてきた。いつか、地元に戻り、脇町でケーキ屋を始めたいと思っていて、SNSで「うだつ」を知り、高橋さんの元に遊びに訪れた。 「時々、地元に戻った時だけでもうだつでポップアップやったらええやんと高橋さんが言ってくれて。その2~3カ月後、父が病気になって一時的に戻ってきて実家を手伝うことになったんです。そしたら高橋さんが、週末だけでも自分のお菓子屋始めたらと言ってくれて。平日は実家の和菓子屋を手伝って、週末だけここで洋菓子屋を始めて。ちょうどチャイ屋をやりたいという女性がいたので、一緒にやったらと」(脇川さん)
いずれまた東京に戻ると話していた脇川さんは、この2~3カ月の間に、東京に帰るのをやめたのだという。なぜだろう。 「うだつにいたら全国から訪れる人に、土日だけでもたくさん会えるんです。マルシェやイベントなどの情報も入るのでチャイ屋さんと一緒に出店したり。地元に誰も知り合いがいなかったけど、一気につながりが増えました。今なら徳島に戻ってもいいなって。こっちで本腰いれてやろうと思えました」(脇川さん)
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