セブン&アイ3~8月期決算会見(全文1)決算概要と中期3カ年計画を発表
コンビニ事業について
続いて、ホールディングの成長のまさに一丁目一番地であるコンビニ事業について、ご説明申し上げます。国内のコンビニエンス事業は再編が続き、多くの注目を集めておりますが、そのような中でもしっかり成長を持続させていきたいと考えております。まずは変わらない、ますます磨きをかけていかなければならないのは商品開発です。サプライチェーン全体で進化し続け、商品の絶対価値を追求し続けるのは、われわれの不変の考え方です。立地・商品・サービス、三位一体で、質を追求してまいります。量がまとまれば質がついてくるというのは幻想だと思います。 そして経営体制が変わり、変えていかなければならないことですが、今一度、既存店の質を徹底的に上げていきたいと考えています。現在約1万9000店、1万4000名弱の加盟店オーナーさまにお店を経営していただいておりますが、加盟店さんを取り巻く環境は日に日に厳しくなってきております。生産年齢人口の減少、労働力不足から、今までの売上規模ではなかなか固定費的な人権費が賄えないと、このような状況になってまいります。 従って1店舗、1店舗の質を高め、しっかり売り上げが取れるお店をつくっていかなければなりません。そのために出店と店舗活性化の考え方を改めてまいります。出店に関しましては税引き利益をリターンとしたROI基準でチェックをしていきますが、現状約11%というROIに対して15%目標で店舗開発を、店舗基準を引き上げてまいります。閉店につきましても既存店の活性化を加速、加盟店さまの経営努力が報われるお店をしっかりご用意する。なんといっても成長の最大のエンジンは加盟店さまのモチベーションです。全てのステークホルダーの方にとってプラスになりますので、あらためて既存店の質の向上に注力していきたいと思っております。
セブン-イレブン・インクの成長戦略
続きましてセブン-イレブン・インクの成長戦略です。このグラフは日米のコンビニエンスストアの店舗数シェアを比較したものです。日本では上位3社のシェアが店舗数で87.3%になります。それに対しまして、北米ではわずか12%に過ぎません。グラフから読み取れますように、メインプレイヤーは中小規模のチェーン、もしくは個人経営のお店となっており、その数は全体で約85%も占めます。 北米コンビニエンスストア市場の2013年度と15年度のシェアを比較しています。左側が13年度です。青字で示してあるのがガソリンメジャーのお店です。2015年になりますと、ほとんどガソリンメジャーのコンビニエンスストア、なくなっています。専業のお店がどんどん増えております。このようにガソリンメジャーの小売りをやる効率の悪さから、どんどん撤退が進められる中、専業チェーンによる再編が継続して、加速しております。 コンビニエンスチェーンにつきましては、60店舗以下の中小チェーンがまだまだ北米にはございます。これらのお店がどんどん大手に引き受けてもらうと、こういう状況が増えております。従いましてM&Aを加速しながら北米については出店を加速してまいりたいと思っております。 これは2010年から19年までの出店数を積み上げグラフで表しております。緑のところがオーガニック出店、自前で店舗開発をした物件です。オレンジのところがM&Aで増やしたお店の数です。グリーンの折れ線グラフは2010年度の新店日販を100としたときの新店日販の推移を表わしております。2012年度にM&Aを中心とした大量出店をした際に、いっとき新店の日販が落ち込みました。そこから出店基準を見直し、量から質への転換を図りました。候補店の商圏ニーズを数値化して、ベスト立地の定義付けを行い、組織も変更しました。その結果、100の指数が116、117と高い数値に推移をするようになりました。またファーストフードを強化することで都市部でもリターンの取れる体制が確立されたため、19年度に1万店へ向けた体制が見えてまいりました。 小型商圏店舗では、売り上げを上げていくためにはファーストフードの強化が欠かせません。SEIでは2012年よりカウンターでホットフードを販売する設備を導入しており、フレッシュフード全体を押し上げ、平均日販も伸長してきております。なおSEIにおけるフレッシュフードの構成比は19%。まだまだ伸ばし余地が十分にございます。ちなみにセブン-イレブン・ハワイ、私が勤務しておりました場所ですけども、セブン-イレブン・ハワイのフレッシュフードの構成比は34%になっております。この秋にはセブン-イレブン・ジャパンの中食パートナーであります、わらべやホールディングスさまが、テキサスのプライム・デリ、セブン-イレブン・インクのサプライヤーに出資をしていただくことも決まっておりまして、さらに1店舗当たりの売り上げを上げる、そういうチャンスが広がってきていると考えております。