資産運用から事業承継計画まで…経営者が知っておきたい「ファミリービジネス」の重要ポイント【公認会計士が解説】
創業家が持つ「無形資産」とはなにか?
ファミリービジネスの事業承継では、有形資産だけでなく無形資産の承継も重要です。無形資産は目に見えないもので、容易に他者には模倣されず、持続的な競争力の源泉となるからです。 創業家が持つ無形資産は、大きく3つに分類されます。 1つ目:一族メンバーが持つ知識やスキル、経験、人脈です。これらはメンバーの個人能力として事業に大きく貢献します。 2つ目:一族の団結力や協働によって生まれる相乗効果です。これにより、一族としての活動が個々の活動よりも大きな成果をもたらします。 3つ目:一族が社会から得ている信頼や評判、社会的地位があります。 これらは、長い事業活動や社会貢献を通じて築かれ、事業成功のために不可欠なものです。
創業家のライフサイクル
ファミリービジネスを所有する一族には、典型的なライフサイクルがあります。このライフサイクルは、一族がビジネスを直接経営する段階から、資産のみを所有する段階へと進展します。 【フェーズ1】オーナー経営 オーナーが経営を行います。一族がビジネスの日常運営に直接関わり、経営の意思決定を行います。この時期は、一族の価値観や理念がビジネス運営の中心になります。 【フェーズ2】非一族のプロ経営者による経営 一族以外のプロフェッショナルによる経営が行われます。プロ経営者たちは、専門的な知識と経験を活かしてビジネスの成長を目指します。 【フェーズ3】一族の理念に基づく資産運用 一族は「理念に基づく資産運用」へと移行します。この時期、一族はビジネスの直接運営から手を引き、一族の長期目標に合わせて資産を管理し、運用するようになります。ここでは、ビジネスそのものよりも、資産価値の維持と増加に焦点が当てられます。 ファミリービジネスを所有している一族が存続するためには、運用資産に一族の理念を反映させることが重要です。理念を無形資産として取り入れることで、運用成績を高めることができるからです。 資産運用の方法は、一族の理念の有無と、資産運用の積極性によって、タイプA~Dの、4つのタイプに分けられます。 【タイプA】 一族の理念を共有し、積極的に資産運用を行うファミリーです。このタイプは、一族の価値観や目標に沿った運用を実施し、無形資産の管理を含め、長期的な財産の成長と維持を追求します。 【タイプB】 一族の理念を共有しながらも、積極的な資産運用を行わないファミリーです。一族の理念に基づく資産の保全には焦点を置きますが、運用に関しては消極的です。 【タイプC】【タイプD】 一族の理念を共有しないで資産運用を行うファミリーです。これらのタイプでは、非効率な運用が発生しやすく、運用成績が悪化するリスクが高まります。
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