資産運用から事業承継計画まで…経営者が知っておきたい「ファミリービジネス」の重要ポイント【公認会計士が解説】
「ガバナンス」の2層構造
ファミリービジネスを所有する一族のガバナンスは「ファミリー(一族)のガバナンス」と「ビジネスのガバナンス」からなる2層構造を持っています。 ファミリーガバナンスは、現在の株主が、未来の株主の利益のために財産を守り、増やし、承継する責任を負っているという考え方に基づいています。 ファミリービジネスでは、経営者の権力が集中しやすく、これが取締役会の効果を弱めることによって、少数株主の利益を損ねるおそれがあります。このため、企業価値の低下や将来の一族株主への悪影響も懸念されます。 この問題に対処するには、効果的なコーポレートガバナンスとファミリーガバナンスの強化が必要です。一族間の利害調整をサポートする役割を、プライベートバンカーが担うケースもあります。 ファミリーガバナンスを強化するため「家族憲章」を作成し、家族会議を定期的に開催することが有効です。 家族憲章とは、一族の理念や価値観、事業承継方針を定めるルールで、トラブル防止の行動指針も含まれます。 家族会議では、ファミリービジネスに関する報告や意思決定、利害調整を行います。これにより、一族とビジネスの連携を深め、コーポレートガバナンスを強化します。重要な意思決定では、一族会議での審議を経て取締役会に意向を伝えることが基本となります。 また「ファミリーオフィス」を設置する一族が増えています。ファミリーオフィスとは、一族の資産を合同で管理・運用するとともに、家族憲章によるガバナンス、一族会議体の運営をサポートする組織です。主な役割は資産運用ですが、お金とは関係のない活動によって無形資産の維持を図ります。 ●統合された税務対策 ●投資戦略の立案と実行 ●信託の受託者 ●リスクマネジメント ●ライフスタイル・マネジメント ●帳簿管理と財務報告 ●一族のためのイベントの企画・運営 ●一族の慈善活動 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄
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