Bリーグ大改革、昇降格廃し経営数値でクラブを評価 DeNAなど呼び込む
大躍進を続けるBリーグの背景には、スポーツの常識を超える構造改革があった。競技成績による昇降格を廃止し、クラブの経営力で評価する。「稼ぐ力」を意識したスポーツビジネスが、大きなうねりを生み出し始めた。 【関連画像】ここ数年、大企業がオーナーとなる事例が増えている。主なオーナーチェンジ事例 2024年5月、浮かび上がるようにライトアップされたコートは、平日の夜にもかかわらず集まった1万2000人の観客の熱気と歓声に包まれていた。 広島ドラゴンフライズと琉球ゴールデンキングスによる、バスケットボール「Bリーグ」の23~24シーズンの王者を決めるファイナル戦。熱闘の末、広島ドラゴンフライズが初優勝に輝いた。 Bリーグは、男子プロバスケットボールの統一リーグとして16年に開幕した。現在はB1・B2・B3の3カテゴリーに分かれ、しのぎを削る。売上高は開幕以来右肩上がりの成長を続けている。23~24シーズンは売上高(予測値)が、22~23シーズン比20%増の580億円超を達成。欧州のユーロリーグと肩を並べ、米NBAに次ぐ世界第2位のリーグの座を確立することを目指す。 背景にあるのが、Bリーグが進める大胆な経営改革だ。26年から競技成績による昇降格を廃止。平均入場者数や売上高で定めた基準によりカテゴリーを分ける。最上位のカテゴリー「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」は最低5000人以上が収容でき、VIP席などを設置可能なアリーナも求められる。 この方針が、クラブにハッパを掛けた。各クラブは希望するカテゴリーに入るため、経営努力をせざるを得ない状況になったのだ。 ●大企業からM&A相次ぐように 経営改革を急ピッチで進めるBリーグに、数年前から「異変」が起き始めた。Bリーグ所属クラブに対するM&A(合併・買収)が顕著に増加しているのだ。買収を仕掛ける業種は、IT、不動産、ゲームなど多種多様だ。 企業がクラブを所有すれば、コストも運営の手間もかかるのが常識だ。平時は広告費として実業団などを擁する企業が、景気が悪くなればコストとして切り捨てる。この繰り返しが、目を背けてはならない日本スポーツ界の負の歴史だった。 今、わざわざリスクを取ってクラブオーナーとなる企業が続出しているのは、「クラブ自身で稼げる環境がBリーグに整ってきた」と感じさせている効果が大きい。 19年、「千葉ジェッツふなばし」を子会社化したMIXIの木村弘毅社長は「Bリーグ自体の機動力が高く、クラブがどのように自活していくかについて、圧倒的に対話がしやすかった」と明かす。MIXIは新たな事業の柱を育てるべく、スポーツ産業に参入。24年3月期は売上高の2割超をスポーツ事業が占める。バスケはその先駆けだった。リーグがビジネスの視点を備えていることが、安心して投資できたポイントとなっている。