武蔵中学校の入試問題の特徴を科目ごとに徹底解明!【中学入試分析2024年】
武蔵中学校は、建学の精神である「武蔵の三理想」を柱に、生涯の基礎となる学力・教養を身につけさせます。今回は、武蔵中学校の2024年度入試問題を教科ごとに分析していきます。 【グラフ】主要塾の武蔵中学校の合格者推移を見てみる
武蔵中学校について
男子御三家の中でも募集定員が160名と少なく、「自調自考」を重んじる少人数教育が特色です。武蔵大学がある広いキャンパス内に校舎があり、主体的な学びに挑戦できる「高大連携講座」もあります。 机上ではなく本物に直接触れる学びを重視し、さまざまな学びの機会を用意しています。例えば、校舎横の小屋で「ヤギ研究」のためのヤギが飼育されているのも本物に触れるためです。 中学3年から第二外国語を必修にし、あえて英語圏以外への「国外研修」を実施しているのも多様な学びを意識しているからこそ。中学1年生が全員参加する、自然観察やデータ採取の重要さを学ぶ「地学巡検」など、校外学習が盛んな点も武蔵ならでは。 注目すべき施設面では理科・特別教室棟があり、地球の自転を体感できるフーコーの振り子のほか、化学・生物・地学・物理実験室、天体観測室、標本庫なども充実しており、実験・観察を重視する探求心の養成を図っています。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)
武蔵中学校の入試分析
国語の入試分析 傾向:長文読解と長文記述 伝統的に物語1題に漢字や語句などの知識問題という出題構成。この10年は説明文が出されることもある。物語の確率が高いが、説明文への準備も怠れない。文章内容も多岐に渡り、苦手な分野でも集中して読めることが必要。記述は表面的な理解ではなく、読み取ったことを自分の言葉で表現することが求められる。 出題:時代、場所を意識した読み取りを 大正時代の北海道を舞台にした小説が1題。かなりの長文で難しい言葉もたくさん出て来る。しかし、脚注を参照しながら読み進めれば難解ではないはず。内容はむしろ素直であり、方針が立ちにくいものはない。採点では主観による思い込みは減点されるので、大事な項目が抜けないように気を配りながら記述をまとめたい。 対策:常に自分の限界に挑戦しよう 漢字の書き取り7問と慣用表現5問以外はすべて長文記述。記述以外では大きな差はつかないことが予想される。記述では満点を取ることは難しいが、半分の点を目標にして自分なりの答案を書くことは決して無理ではない。6問しかないので、どれかひとつでも全く得点できないと挽回するのが大変になる。解きやすい設問はなるべく短い時間で完成させ、解きにくいものにじっくり腰をすえて、最大限の力を発揮した表現を心がけたい。 読解問題 頻出テーマ ベスト3:1位 友人 2位 人としてどう生きるか 3位 文化と学問 算数の入試分析 傾向:「自分で確かめる重要さ」を問う 手書きの問題がB4用紙1枚に1題ずつ計4題。「平面図形」「和と差・割合・速さ」「整数・場合の数・条件整理」が頻出。定番の問題が多いが、高度な思考・作業を要求される問題も出される。定石の解法はもちろん、効率良く調べる方法も重要だ。多くの問題で考え方の記述をする必要があり、答えの根拠となる事実を自分の目で確かめたか否かを問われていると言ってよい。 出題:情報処理の正確さを問う内容 大問1(1)整数。(2)仕事算、大問2の平面図形、大問3の速さ(1)~(3)、大問4の調べ(1)(3)は標準的な難易度であり、これらで失点を防ぐことが合否を分ける。一見扱い辛そうな数値をいかに楽に扱うかという点にも意識が向くとよい。大問3(4)、大問4(2)(4)は丁寧な調べ作業を伴う問題と言え、差がつきそうだ。 対策:定番題は勿論、思考・表現力も磨く 頻出の「文章題」「平面図形」は定番の内容であることが多く、可能な限り高得点を取りたい。短時間で図や補助線を描く練習をしておくと良い。「整数・場合の数・条件整理」に関する思考問題への対策も必須だ。表や図に整理する作業を必要とする問題を多数経験しておくことが望ましい。また、本校入試の多くの問題で考え方を記述する必要があるため、普段から、図や式を書いたり、人に説明したりする習慣を持ちたい。 算数 頻出テーマ ベスト3:1位 場合の数・条件整理 2位 速さ 3位 平面図形 社会の入試分析 傾向:記述中心の思考問題 例年大問1題構成で、2000字程度のリード文の後に7問程度の小問が出題される。知識問題も数題出されるが、中心をなすのは記述問題で、資料を読み解いて自ら思考してまとめる問題が大半である。記述に字数制限はない。試験時間は40分と十分あるので、設問の意図を正確につかんで記述をしっかりまとめあげたい。 出題:例年通りの考えさせる問題「労働」をテーマにした歴史・公民分野の融合問題であった。知識問題が5問出題されているが、いずれも基礎的な内容で落とせない。記述問題は、グラフを読み解いてまとめる問題が2問出たが、内容的に難しくないため、確実に得点したい。最後の問7は発展的記述問題で、点差がついたのではないか。 対策:過去問や類題の演習を怠らない 本校の問題はあくまで記述問題がメインだが、知識問題も出題されており、また記述の答案も正確な知識に裏打ちされてこそ説得力が増すため、テキスト中心のオーソドックスな勉強スタイルは維持したい。そのうえで、過去問や学校別模試、類題を出題する他校の問題に数多く当たって分析力や思考力、記述力を磨いておく必要がある。また、記述答案は自己満足に終わらぬよう、必ず添削を受けることも大切である。 社会 頻出テーマ ベスト3:1位 中世・近世(鎌倉~江戸) 2位 近現代(明治~令和) 3位 水・ごみなど 理科の入試分析 傾向:観察・分析・記述力が深く問われる 本校の理科は、実験や観察に関する出題と配布された袋の中の物をテーマにした「お土産問題」で構成されている。いずれも、観察力・分析力が深く問われる内容になっており、解答の根拠を考え、記述する力が必要である。正確な知識も当然必要だが、知識だけでは歯が立たない。しっかりとした対策が必要。 出題:分析力を問う武蔵らしい出題 例年通り大問3題の構成。大問1は西之島や富士山をテーマにした火山の噴火についての出題で、記述問題も複数含まれる。大問2は「とける」という現象についての計算と記述問題。大問3は本年もお土産問題。「くり出し式容器」を観察した上で、その構造や仕組みについて記述するという内容。 対策:「なぜ?」を考える習慣が大切 本校の理科は、幅広く正確な知識を必要とする問題と、実験や観察の結果に対して分析を行い、その分析結果を記述させる問題を中心として構成される。本年度の出題でも例年通り複数の記述問題が見られた。本年度大問1で出た「軽石が水に浮くのはなぜか?」といった、現象に対する論理的な説明を求める問題が例年出題される。日頃の学習においては、記号選択であっても「なぜその答えを選択したのか」を明確にする姿勢が求められる。 理科 頻出テーマ ベスト3:1位 実験器具 2位 いろいろな動物・季節と動物 3位 ヒトのからだとつくり ※森上教育研究所作成資料より 編集協力=福崎剛・フリーライター
リソー教育・TOMAS教務本部