面倒くさがりでも意志の力いらず「続ける技術」 ダイエット、貯蓄、禁煙―挫折の末にこれを試せ
好きなものを食べたいし、やりたいこと、楽しいことをしたいから、健康的な食生活、禁煙、貯蓄といった習慣については、多くの人が「したほうがいい」と思っていても、実際にはできずにいる。もちろん、欲望のおもむくままに行動していたら、困るのは自分。世の中には自分を誘惑するものにあふれており、長年しみついた習慣を変えるのは難しい。 アメリカでベストセラーとなっている『THINK FUTURE「未来」から逆算する生き方』著者で心理学者のハル・ハーシュフィールド氏は、習慣を定着させるために、ほどよい罰則を設けることを提案している。決めたことをやらないと痛みを伴うしくみをつくることで、習慣化を促すのだ。 【写真を見る】人生の「先延ばし問題」に対処する画期的な1冊!
■運動をさぼったら100ドル札を燃やす 作家のニール・イヤールは「バーン・オア・バーン(燃やすか、燃やしてしまうか)」と名づけた戦略を取り入れている。 彼はクローゼットの内側にカレンダーを張っているそうだ。カレンダーの当日の日付に100ドル紙幣をテープで張りつけておき、クローゼットの上にはライターを置いておく。そして毎日、クローゼットを前に決断する。 「カロリーを燃焼するか、それとも100ドルを燃やしてしまうか」
つまり、運動をさぼった場合、ライターで100ドル札を燃やすという約束を自分に課しているのだ。これはまさしく「損失回避」の作用である。潜在的な損失、つまり100ドル札を燃やす行為を課すことで、特別な感情が生じ、運動へのモチベーションがアップする。汗をかきたくないのはやまやまだが、「お金を失うのもごめん」というわけだ。 イヤールにとって、カロリーを燃焼するための運動は何でもいい。ジムに通ったり、腹筋をしたりするのもいいが、ただ散歩するだけでもかまわない。とにかく動くことなら何でもかまわない。
■第三者によるペナルティの効果が高い訳 「100ドル札を燃やす」という作戦は非常に効果があった。それまではほとんど運動していなかったが、この戦略を取り入れてからというもの、体を動かすようになったそうだ。 この「脅し」は、行動を促すには十分な痛みを伴うが、放棄するほどの苦痛でもない。3年経った今も、彼は「燃やすか、燃やしてしまうか」という決断を日々下している。かつては肥満と診断されたものの、現在44歳のイヤールはかつてないほどに引き締まった健康体だ。