エンタメの専門職大学、滋賀・彦根に9年度開校へ 「映画のまちへ」市と学校法人が協定
「映画のまち」を打ち出している滋賀県彦根市は、彦根駅に近い市有地に、エンターテインメントに特化した専門職大学(4年制)を設置することを決めた。学校法人吉田学園(大阪市)と市が映画・アニメ産業による地域活性化を目指し、連携協力して専門職大学を設置するとした協定書を締結した。令和9年度の開校を目指す。 【写真】協定を締結した吉田尚剛・吉田学園理事長と和田裕行・滋賀県彦根市長 予定地は、彦根駅東口から南へ約300メートルの大津地裁彦根支部に隣接した2670平方メートルの市有地。協定書によると、専門職大学では映画・アニメ産業に従事する人材を育成する。 市は、「大阪アミューズメントメディア専門学校」を運営する吉田学園と昨年3月、学生数400人規模の専門職大学を設置するとした基本合意書を締結。当初はJR稲枝駅西側の民有地を予定地としていた。 しかし、近くの稲部遺跡で弥生時代末期から古墳時代初めにかけての重要遺構や遺物が発見され、文化財調査の必要性が生じて土地の取得に時間がかかることから断念。ひこね市文化プラザ(野瀬町)の建物を活用する案も浮上したが、最終的に今回の市有地に決めた。 市は、琵琶湖などの自然や彦根城などの歴史資源も多い環境を生かし、映像作品のロケーション誘致に積極的に取り組んでいる。 5年前には幕末の京都を再現した「彦根オープンセット」が誕生。昨年度は映像作品の活用強化に向けた「エンタテインメント課」を新設し、「ハチ公物語」「四十七人の刺客」などの作品を手掛けた映画プロデューサー、鍋島壽夫(ひさお)さんを「ロケーション誘致アンバサダー」に委嘱している。 市は、こうした環境や施設、人材と、新設される専門職大学との相乗効果を期待している。 協定書の締結について、和田裕行市長は「映画のまちを目指す市にとって大きな一歩」、吉田学園の吉田尚剛理事長は「映画産業を通じての地域貢献も含め、目標達成に近づいた」と話している。