《親に聞きたくても聞けない》お父さんは年金ひと月いくらもらっているの?介護費用はどうするつもり?【令和の年金エイジのお金と介護の話】
【令和の年金エイジ】介護費用はどうするつもり?《親に聞きたくても聞けないこと》
内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、一般的な年金開始年齢である65歳以上の男女85.2%が、将来排せつなどで介護が必要になったら、介護費用を自分の資産(貯蓄や年金など)から出すつもりだと答えています。 頼もしい話ではありますが、実際に介護費用を自分で捻出できるかどうかは、資産状況や要介護度合いによっても変わってくるでしょう。 ちなみに金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」より70歳代世帯の金融資産保有額は以下の通りです。 ・二人以上世帯:平均1906万円・中央値800万円 ・単身世帯:平均1433万円・中央値485万円 平均は二人以上世帯で1906万円、単身世帯で1433万円。一方、より実態に近い中央値は、二人以上世帯で800万円、単身世帯で485万円にまで下がります。 では、介護費用はどのくらいかかるものなのでしょうか。平均額だけでも知っておきたいですよね。次で詳しく見ていきましょう。
【親の介護費用】介護にかかるお金や期間。平均はどのくらい?
生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」から、平均的な介護費用、介護期間に関するデータを眺めていきます。 ●介護にかかるお金(※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む) 介護にかかるお金の平均はどのくらい? 一時的な費用の合計平均:74万円 ・掛かった費用はない:15.8% ・15万円未満:18.6% ・15~25万円未満:7.7% ・25~50万円未満:10.0% ・50~100万円未満:9.5% ・100~150万円未満:7.2% ・150~200万円未満:1.5% ・200万円以上:5.6% ・不明:24.1% 介護にかかる費用(月額) 【在宅介護の場合】月額平均:4万8000円 ・支払った費用はない:0.0% ・1万円未満:7.2% ・1万~2万5000円未満:22.3% ・2万5000~5万円未満:17.6% ・5万~7万5000円未満:13.3% ・7万5000円~10万円未満:2.3% ・10万~12万5000円未満:4.3% ・12万5000~15万円未満:1.2% ・15万円以上:5.8% ・不明:26.0% 【施設介護の場合】月額平均:12万2000円 ・支払った費用はない ・1万円未満:0.0% ・1万~2万5000円未満:6.3% ・2万5000~5万円未満:4.7% ・5万~7万5000円未満:9.1% ・7万5000円~10万円未満:8.7% ・10万~12万5000円未満:20.9% ・12万5000~15万円未満:7.9% ・15万円以上:30.7% ・不明:11.4% ●介護期間は平均61.1カ月 介護期間の平均は約5年 介護期間の内訳 ・6カ月未満:3.9% ・6カ月~1年未満:6.1% ・1~2年未満:10.5% ・2~3年未満:12.3% ・3~4年未満:15.1% ・4~10年未満:31.5% ・10年以上:17.6% ・不明:3.0% 調査結果によると、平均的な介護期間は約5年。 介護用ベッド購入や住宅改修などに要した「一時的な費用の合計」と、公的介護保険サービスの自己負担費用を含む「月々の費用」を合計した金額は、在宅介護の場合で約370万円、施設介護の場合で約820万円です。 もちろん、実際に必要となる費用には個人差があります。 在宅介護の場合は、バリアフリー度合いや家族との同居有無によっても変わるでしょう。民間の介護施設の場合は入居時に数十万円~数百万円が必要となるケースも珍しくありません。特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設は比較的低費用ですが、入居希望者も多くなかなか入居できないことを覚悟しておく必要もありそうです。 また、特養だから一番安いとは言い切れないことも。世帯の資産状況によっては民間の介護施設とあまり変わらない費用になる可能性がある点は、知っておくと良いでしょう。 医療依存度や認知症の進み具合によっては、受け入れ可能な施設が限られてくることも。もちろん最適な終の棲家は人それぞれです。しかし「要介護状態になったら、どこで、誰に、どのような介護をしてもらいたいか」は、親が元気なうちにぜひ話しておきたいものです。 また、介護費用については、親がしっかりと老後資金を準備できている場合や、いま住んでいる自宅を売却して施設費用を出そうと心づもりしている場合も、実は注意が必要です。 認知症で判断能力が衰えると、銀行などの口座が凍結されたり、不動産の売買契約が結べなくなったりする可能性があります。コツコツと準備してきた老後資金を介護費用として活用できなくなることも起こり得るのです。 「突然やってくる、万が一のときのために」家族信託や任意後見などの制度で備えておくのも良いでしょう。