内山が2回KO負けでV12失敗 敗因は戦う理由の欠如
WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者、内山高志(36歳、ワタナベ)の12度目の防衛戦が27日、大田区総合体育館で、暫定王者のジェスレル・コラレス(24歳、パナマ)を挑戦者に迎え行われたが、2回2分59秒に衝撃のKO負けを喫した。 このラウンドに3度のダウンを奪われ、スリーノックダウン制のルールにのっとってKO負けとなったもの。内山は、2010年1月11日に獲得して以来、6年3か月保持してきたベルトを失った。これがプロ26戦目にして初黒星。この試合に勝てば、具志堅用高氏が持つ13度連続防衛の日本記録に王手をかけるところだった。なぜ内山は敗れたのか。
悲鳴がボクシングの新殿堂となりつつあった大田区総合体育館を包む。 まさか。2ラウンド、右の打ち終わりにコラレスの痛烈な左フックがカウンターになった。ノーガードでもろに浴びた内山は、もんどり打ってダウン。右膝を立てて起き上がろうとしたが、力が入らずにもう一度、尻餅をついた。その姿を見た会場からは、また悲鳴が上がった。ロープに手をやってなんとか立ち上がったが、足元はおぼつかない。 「何が当たったかわからない。見えなかった。意識はしっかりとあったが、ダメージは残っていた」 こう言っては失礼だが、そう打たれ強いわけではない内山のダウンシーンは珍しくはない。そこから立て直しての逆転劇も、内山の真骨頂でもある。だが、これまでに比べてダメージは大きすぎた。 コラレスがオーソドックススタイルにスイッチして襲いかかってくると、また右フックを浴びた。クリンチに逃げようとした内山は、ふりほどかれ、スリップ気味に2度目のダウン。WBAは、スリーノックダウン制を採用しており、1ラウンドで3度のダウンを喫すると自動的にKO負けとなる。まだ1分以上時間は残っていた。 無理をせずクリンチで時間を稼ぐべきだった。だが、「クリンチの声は聞こえていたが、一発をやり返しておきたかった」と、内山は、受けて立つ。機を見たコラレスは、目の色を変えて仕留めに来た。勢いに押され、ロープを背負った内山が正面から左ストレートを打たれて両足を投げ出すようにして腰を落とすと、レフェリーはKOを宣告した。 2分59秒。あと1秒でインターバルに入れるところだった。