TSMC特需に沸く熊本経済、日本再生のモデルケースになり得るのか
自民総裁選、石破・小泉・高市3氏による上位争いに-報道各社調査
自民党総裁選の期間中、候補者は地方の衰退や東京など都市部への人口流出を巡る問題について議論を戦わせた。TSMCの事例は全国各地で再現されるべきモデルケースという意見がある一方、観光業あるいは企業や学術機関の地方移転を促す優遇措置が必要だとの声もある。出生率を上げるためにはより多くの取り組みが必要だという点では意見が一致しているものの、新たなアイデアや抜本的な解決策はほとんど示されていない。
景気回復の裾野を広げることができなければ、経済の二重構造が定着する恐れがあり、資金と人材の集中が先進国の中で最も極端なものとなる可能性がある。企業は十分な労働力やサービスの確保で一層苦戦することになるだろう。この現象は東京を含む主要都市ですでに起きている。
世界の投資家の目が再び日本に向かうようになった。株式市場は過去最高値に迫る勢いであり、デフレを克服したようにみえる。資金はディールや投資に向かい、日本銀行は超緩和的な金融政策を転換した。日本経済は潜在成長率を上回るペースで拡大を続けると日銀はみている。
日本の指導者も世界の舞台で自信を深めている。日米同盟の下で長年米国に守られてきた日本はこれまで、軍事力に代表される「ハードパワー」の行使を避けてきた。ただ、今や中国や北朝鮮を巡る懸念から防衛費を急速に増やし、ウクライナ支援のような問題について影響力のある発信をするようになった。
第2次世界大戦での敗戦後、日本は1980年代後半までの急成長を経て、米国に次ぐ世界第2位の経済大国へ躍進した。日本製の家電が世界の羨望(せんぼう)の的であった時代の92年には、日本の1人当たりの国内総生産(GDP)は3万2000ドルで米国を上回っていた。
しかし、それから30年近く経過した後でも3万3000ドルにしかなっていない。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、同じ期間に米国は8万5000ドルと3倍超に拡大した。