『光る君へ』まひろと道長、子を授かった石山寺、まひろがつけていた赤い帯って?いけにえの姫・彰子とイメージが重なる女三の宮
NHK大河ドラマ『光る君へ』の舞台である平安時代の京都。そのゆかりの地をめぐるガイド本、『THE TALE OF GENJI AND KYOTO 日本語と英語で知る、めぐる紫式部の京都ガイド』(SUMIKO KAJIYAMA著、プレジデント社)の著者が、本には書ききれなかったエピソードや知られざる京都の魅力、『源氏物語』にまつわるあれこれを綴ります。 【写真】まひろが石山寺で着物につけていた赤い紐は何? * * * * * * * ◆石山寺の場面の気になる衣装 『光る君へ』もいよいよ後半に突入。大反響を呼んだシーンとして記憶に新しいのが、石山寺でのまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の熱い一夜でしょう。まさかの妊娠、そして出産という怒涛の展開に、「なるほど、そう来たか!」と驚く声あれば、「やっぱりね。そうなると思っていたわ」という声もありと、大盛り上がりでした。 史実では、夫・藤原宣孝(佐々木蔵之介)との永遠の別れも間近。未亡人となったまひろは道長に真実を告げるのか、勘のいい妻・倫子(黒木華)にはいつバレるのか……などなど、気になることは多々あれど、それは今後のお楽しみということに。 本連載では石山寺でまひろが身につけていた「赤いたすきのようなもの」に着目したいと思います。 禁断のラブシーンに心を持っていかれ「衣装なんか記憶に残っていない!」という方もおられるかもしれません。でも、よ~く思い出してください。石山寺で道長と並んで腰を下ろし、思い出話に花を咲かせたあと、越前和紙の話から「私もいつか、あんなに美しい紙に歌や物語を書いてみたいものです……」と、さりげなく、でも実はとっても重要な一言をつぶやいていた、あのシーンです。 そのとき、まひろが胸のあたりにかけていたのが「懸(かけ)帯」と呼ばれるもの。貴族の女性たちが社寺参りなどに出かけるときに身につけた赤い帯です。 女性たちが外出するときは、歩きやすいように袿(うちき)をからげで裾をつぼめ、さらにこの赤い懸帯をかけたとか(背中側で結び、うしろに長く垂らした)。懸帯には、襟元をおさえるという実用性だけでなく、厄除けや潔斎の意味もあったようです。 また、旅に出かけるときは、「懸(かけ)守」と呼ばれる筒状の御守を首から下げました。確か、『光る君へ』のまひろも、越前に向かうときには懸守を下げていたように思います。
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