『光る君へ』まひろと道長、子を授かった石山寺、まひろがつけていた赤い帯って?いけにえの姫・彰子とイメージが重なる女三の宮
◆道長が高価な紙を贈る? あの夜の出来事を振り返ると、まひろの懸帯には、厄除けよりも恋愛成就か子授けの効果があったのでは? などと思ってしまいます(あくまでドラマの中のお話ですが……)。 しかも「美しい紙に歌や物語を書いてみたい」という願いも、遠からずかなってしまうのです。これはもう、石山寺の観音さまのご加護といえるかもしれませんね。 道長が『源氏物語』執筆のスポンサーになることは、史実としてよく知られています。 定説は、紫式部が書いた『源氏物語』が貴族社会で評判になって道長の目に留まり、娘・彰子の女房としてスカウトするという流れです。そののちに物語の続きを書くよう依頼するわけですが、(本連載3で紹介したように)「紫式部は、道長に執筆を依頼されてから『源氏物語』を書き始めた」とする説もあるようです。その場合、『源氏物語』誕生のきっかけをつくったのは道長ということになります。 定説はさておき、まひろにぞっこんの『光る君へ』の道長なら、どう行動するでしょうか。 「物語でも書いてみれば?」などと言って、まひろがほしがっていた紙を、墨や筆とともにプレゼントする。出仕を持ちかけるのは、そのあとの話。石山寺での会話は、その伏線になっていた……。そんな気がするのですが、みなさんはどう思われますか。 いずれにせよ、まひろが「紫式部」として生まれ変わる日は近いようです。 ドラマが始まった頃は、質素な暮らしぶりが強調されていましたが、父・藤原為時(岸谷五朗)が越前守に任じられたあたりから、まひろの衣装もグレードアップ。裕福な宣孝(佐々木蔵之介)の妻となると、重ねる袿の数も増えて、豪華な表着(うわぎ)を身につけるようになりました。 貫禄も出て、以前とは見違えるよう。ようやく貴族らしくなってきた、というのは言い過ぎでしょうか。装束には、財力がはっきり表れるものなのですね。
◆彰子の女房はなんと40人 さらに物語が進んで、中宮・彰子に仕えるようになれば、まひろも女房装束(「唐衣裳」、いわゆる「十二単」のこと、詳しくは本連載4参照)を着ることになります。普段の袿姿とは違った、華やかな正装が見られることでしょう。 最初の女房名が「藤式部」なので、テーマカラーはやはり紫色ではないか、などと想像しています。 余談ながら、平安時代において紫は天皇をはじめ高貴な人々が好んだ色だったそうです。「桔梗のかさね」「藤のかさね」など、『源氏物語』にも紫系の色の描写があちこちに登場します。 紫が高貴な色として考えられた理由のひとつに、染めるのに非常に手間のかかる色だから、ということもあったとか。つまり、限られた人しか身に着けることのできない、あこがれの色だったのでしょう。 彰子の入内にあたって、道長は、選りすぐりの女房を、なんと40人も揃えたそうです。容姿、家柄ともに申し分のないお嬢さまが集められたのですが、それでも、評判の高かった定子のサロンに比べると魅力に乏しく、精彩を欠いていたようです。このままでは一条天皇の気を引くことはできないと、紫式部に白羽の矢が立ったわけです。 40人もの女房が居並ぶさまは、ドラマではさすがに再現できないとしても、最近の放送回では、色とりどりの唐衣裳をまとった女房たちが多数登場しています。まさに眼福。まひろの出仕後は、さらに壮麗な宮中のシーンが見られるかもしれません。 平安京が舞台である今年の大河ドラマの見どころのひとつに、こうした装束の美しさ、豪華さがあることは間違いありません。とはいえ、これだけの衣装を用意するには莫大な制作費がかかっているはず……。舞台裏がちょっと心配になるほど、目に贅沢なドラマだと思います。
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