なでしこGK初のビッグクラブ移籍が実現。山下杏也加が勝ち取ったマンCからのオファー「サイズは関係ないと証明できた」
2017年からなでしこジャパンの正守護神としてゴールマウスを守り続けてきたGK山下杏也加が、今夏のパリ五輪後に3年契約でマンチェスター・シティに移籍した。冷静なシュートストップや足元の技術を活かしたビルドアップは、年々安定感が向上。国際大会でもトップクラスのパフォーマンスを見せてきた一方、これまで、海外挑戦への野心を詳らかに語ってはこなかった。日本女子GKとして初のビッグクラブ挑戦の背景に迫った。 (インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真提供=Manchester City Women FC)
冬の市場で届いたオファー。「迷いはなかった」
――パリ五輪期間中に、マンチェスター・シティへの移籍が発表され、大会後は新シーズンに向けてオーストラリアでのプレキャンプに合流しました。WEリーグのシーズン後からハードな日程だったと思いますが、オリンピック後は少しはオフはあったのですか? 山下:大会後に一度帰国して、マンチェスター・シティからは2週間ぐらいのオフをもらいました。オーストラリアでの大会があるから、日本からイングランドではなく直接オーストラリアに行ったほうが近いということで、2週間のオフになったと思います。 ――マンチェスター・シティからは、いつ頃オファーがあったのですか? 山下:昨年の冬の皇后杯の時に最初のオファーがありました。(マンチェスター・シティの)キーパーが少ない事情もあって早めに獲得したいのかなと思いましたが、「冬か(今年の)夏か、タイミングは任せる」と言ってもらいました。早く合流したい思いもありましたが、契約やINAC神戸のチーム事情もあり、WEリーグのシーズンが終わってからの移籍になりました。 ――好きな選手に、以前からシティのエデルソン選手の名前を挙げていましたよね。オファーがあった時の率直な思いはいかがでしたか? 山下:まさかオファーがくると思ってなかったので、最初は「違うシティなのかな?」と思いました(笑)。チームのプレースタイルも魅力的だし、(日テレ・東京ヴェルディ)ベレーザで一緒にサッカーをしたことがある(長谷川)唯がいるので、迷いはなかったです。移籍する時は試合に出ることも大事だと思うんですが、オファーがきてまず想像したのは、「毎日、充実した練習ができる」ということでした。年々、海外に対しての意欲が薄れてきていた中で、チャレンジできる舞台があるのは幸せなことですし、今はこの環境を楽しんでいます。