「イヤイヤ期に来ていて…」フィギュア世界女王・坂本花織が“表彰台に乗れただけ”でホッとしたワケ「自分の性格に救われている部分も」
フランス・グルノーブルで開催されたGPファイナル(12月5-8日)の女子フリー。『シカゴ』のプログラムを力強く滑り抜いた坂本花織(24)は、キス&クライで両手を握りしめて得点を待った。ショート4位からの巻き返しが期待されたが、表示されたスコアは、今季の自己ベストから15点以上も低い「137.15点」。「ああ、伸びない」とつぶやくと、自分を納得させるようにうなずいた。 【写真】両手を握りしめ必死に祈る坂本花織…「まさか最後にコケるの?」フィニッシュで転びかけヒザついて苦笑…でも今季世界最高点の圧巻の演技も合わせて見る! そのわずか2分後にインタビューに現れた坂本は、意外にも笑顔だった。 「今やれることは出し切りました。まずは表彰台に乗れたのでホッとしています」
ショートが“イヤイヤ期”に来ていて
世界選手権3連覇の女王が、なぜ表彰台に乗れただけでホッとしているのか。その戦いを振り返った。 例年はスロースターターと呼ばれる坂本だが、今季は11月のNHK杯でショート、フリーを揃え、231.88点で優勝。今季の世界最高点を更新し、早くも調子を上げているように見えた。ところがGPファイナルの会場入りした坂本は、試合が始まる前から、珍しく弱音をはいた。 「ショートが“イヤイヤ期”に来ていて。どうしてもショートになると『嫌だな』という気持ちになるところがあります。(会場に)来る直前ぐらいには、だいぶその気持ちがなくなり、『嫌だな』と思っても(ノーミス)出来るところまでは持ってきています」 坂本らしく、その違和感を『イヤイヤ期』と表現する。それは単なる好不調の波というものではないという。 「去年も一昨年も思っていたのですが、ショートのほうがフリーよりも(体力的に)キツいんです。慣れるまではフリーのほうがキツいのですが、慣れてくるとショートのほうが辛い。フリーは、ステップやスピンも多いし、ジャンプの助走でも振り付けを演じるところが多くて、そこで息を整える時間がある。でもショートは要素が詰まっているから、本当に体力勝負になる。年々『嫌だな』と思う時期が長くなってきています」 感じているのは、要素の濃密度の差なのだろう。ショートが2分40秒の全力疾走に近い感覚なのに対して、フリーは4分間のインターバルトレーニングに似ている。24歳ともなると、演技中の疲労は溜まりやすく抜けにくい。対疲労のコントロールが難しいのは、ショートのほうなのだ。
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