「手を合わせる」だけで本当にOK?正しい初日の出の拝み方【年末から年始のマナー】
早起きは苦手でも、初日の出を見るときだけは別、という方も多いもの。新しい年の最初の日の光を浴びながら、昇る太陽を眺めていると、とても新鮮で荘厳な気持ちになりますよね。誰もがなんとなく手を合わせている初日の出ですが、じつは正式な拝み方もあるんです。「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に教えてもらいました。 【マンガで確認】鏡餅を飾ったら門松も飾らないといけないの? ■神社と同じように2礼2拍手1礼を 毎年元日の早朝には、宮中で「四方拝」という儀式が行われ、天皇が四方を拝し、国家安泰と五穀豊穰を神様に祈ります。 それが一般にも広がり、明治時代以降は庶民の間でも初日の出を拝むことが盛んになりました。 「太陽を拝む時は、神社と同じように2礼2拍手1礼をします。その際、息を吸いながら深くお辞儀をして、止まったところで息を吐き、再び息を吸いながら元の姿勢に戻ります。これを礼三息(れいみいき)といい、どんな相手に対しても折り目正しい態度とされ、自分の心を安定させる効用もあります」(岩下先生) 日本神話において、太陽の神としても知られる最高神といえば、天照大神(あまてらすおおみかみ)。 拝むタイミングにとくに決まりはありませんが、最初の光が見えたときに礼を始め、太陽全体が見えるまで手を合わせていると、天照大神のもたらしてくださる光のパワーを、余さず心身に取り込めるようです。 この太陽の力は地上にあまねく広がるので、拝む場所は自宅でかまいません。 海や山、神社などで拝むほうが敬虔な気持ちになる人は、訪れてみるのもいいでしょう。 また、元旦の天候が曇りや雨であっても、日が昇っていることに変わりはないので、日の出の時刻を調べ、ぜひ手を合わせてください。 *** 日の出を見ると心や体に良い作用があることは、科学的にも証明されています。新年最初の日の出ともなれば、その効果もきっとアップするはず! 拝む際には、自分の御利益だけをお願いするのではなく、年神様への感謝の言葉も忘れずに唱えてくださいね。 教えてくれたのは… ▶岩下宣子先生 「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。 文=高梨奈々