【全日本】安齊勇馬「この試合でプロレス人生が終わってもいい」と覚悟した三冠戦
2024年3月30日、デビュー1年6ヶ月の安齊勇馬が中嶋勝彦を破り三冠ヘビー級王座を獲得、24歳10ヶ月と最年少戴冠記録を更新した。だが喜びも束の間、三冠王者としてのプレッシャーが安齊勇馬に重くのしかかる。安齊は8月17日立川大会で師匠の青柳優馬に敗れるまで三冠王座を5回防衛、王者としての貫禄も徐々に醸し出していった。プロレス大賞2024で殊勲賞を初受賞、改めて三冠王者時代を振り返ると共にキャリア3年目に突入した安齊勇馬の声に耳を傾けた… 【写真】アジアタッグ王者・安齊勇馬&ライジングHAYATO ――2024年も残りあと僅か。1年を振り返っていただきたいと思います。まず今年3月、中嶋勝彦選手から三冠ベルトを奪取。その時は「ベルトの重圧が大きい」と話していました。 安齊:当時1年半のキャリアで三冠ベルトを勝ち取った経験は、プロレスラーとしての僕を成長させた一番大きな要因だったと思います。 三冠王者になってからいろんな選手と防衛戦をさせてもらいました。最初から防衛できずに負けたら「たまたま運が良くて取ったんだな」と思われてしまう。 「最悪、怪我をしてずっとプロレスができなくなっても仕方がない、この試合でレスラー人生が終わってもいい」と覚悟を決めて、毎回必死にリングに上がっていました。
――相当な決意を胸に戦っていたのですね。 安齊:そうです。そう思わないと、8割ほどしか自分の力が出ない。戦う相手は、全員僕より経験を積んだ方々ばかり、強者揃いです。100%、いやそれ以上の力を発揮しないと太刀打ちできません。だからいつもそんな気持ちでした。 三冠ベルトを失って「やっぱり安齊はそんなもんか」って思われるぐらいなら、「もう全部くれてやるよ」という気持ちで戦っていました。そのおかげで防衛できたと思っています。
――三冠の防衛回数は全部で5回。初防衛戦がチャンピオン・カーニバル覇者・宮原健斗選手。2度目が鈴木秀樹選手。3度目が諏訪魔選手。4度目がエルピーダの本田竜輝選手。5度目が斉藤レイ選手、そして残念ながら王座陥落の6度目が青柳優馬選手と全日本プロレスの名だたる顔ぶれです。 安齊:戦っている時は本当にシンドイ、こう言うとイメージ的に良くない気がするんですけど(苦笑)。試合前は基本ネガティブになるので、メンタルにも影響が出ました。肉体的に辛い時期もありました。 でもベルトを落とした今、三冠戦に絡まない試合をしていると「あの刺激は三冠戦でしか味わえない、三冠王者じゃないと経験できないんだ」と。 今も全試合全身全霊をかけて戦ってはいますが、どこか物足りなさを感じる。それが正直な感想です。 ――過去のインタビューでは、「三冠ベルトを獲って喜んだのは、獲得した日のサイン会まで。そのあとは不安しかない」と。そして8月に青柳優馬選手に敗れ三冠ベルトを手放したとき、「試合順がメインイベントやセミファイナルから、1試合目や2試合目に変わった。それが三冠ベルトを持ってない本来の“安齊勇馬の価値”」と話しました。再度三冠ベルトを目指しますか? 安齊:やはり全日本のヘビー級で戦っているからには、三冠ベルトを目指すのは当然のことです。1度ベルトを手にして5回防衛できたということは、またチャンスがある。チャンスが来たら、いつでも挑戦する気持ちはあります。