被災地の語り部高齢化で記憶継承が課題に 阪神大震災30年、兵庫で全国シンポ
阪神大震災から来年1月17日で30年となるのを前に、全国の被災地の語り部らが一堂に集う「全国被災地語り部シンポジウムin阪神・淡路」が7日、兵庫県淡路市(淡路島)で始まった。阪神大震災では語り部の高齢化が進み、記憶継承が課題となっている。参加者らは被災地を歩きながら、災害を語り継ぐことの意義を再確認した。 約30人が参加し、北淡震災記念公園(同市)の「野島断層保存館」に展示されている断層の一部を見学。26人が犠牲になった旧北淡町の富島地域で復興状況を確認した。8日には神戸市で有識者の対談などが行われる。 能登半島地震で被災し現在、復興支援ガイドツアーを手がける宮口智美さん(39)=石川県珠洲(すず)市=は、地元で被災した建物が撤去されていく現状に触れ、「語り継ぐことや記録を残すことの重要性を再確認できた」と語った。 同公園で語り部として登録する約20人の平均年齢は75歳。神戸市の防災学習・研究施設「人と防災未来センター」の語り部ボランティアも、43人のうち半数以上の29人が70代以上だ。 同公園の米山正幸総支配人(58)は「震災を体験した人が少なくなるのは仕方がない」としつつ、地元高校生による語り部活動が行われている事例などを挙げ、「体験せずとも、誰かの思いを伝えたいという心の引き継ぎができれば語り部はできる」と話した。