北大アイス、しゃぶしゃぶ肉…ふるさと納税の返礼品に 注目集まる大学オリジナル商品
人口減少に歯止めをかけたい
北海道大学がある札幌市では、22年11月から、ふるさと納税の寄付先として、支援先の大学を指定することができる「大学応援プロジェクト」を開始しました。ふるさと納税サイトから返礼品を選ぶ際、この寄付金でどこの大学を支援したいかを選択できる制度です。札幌市の政策企画部企画課産学官連携担当の猪瀬昌係長は、このプロジェクトが始まった経緯を次のように話します。 「札幌市では人口減少が喫緊の課題となっており、さまざまな施策を通じて人口減少を緩和する必要があります。そこで注目したのが大学でした」 札幌市にある大学には、道外から入学する学生も少なくありません。そうした学生が集まっている大学を支援することで、卒業後も札幌市にとどまってもらえれば、人口減に歯止めをかける一手になるかもしれない。そう考えて生まれたのが、ふるさと納税を活用して市内の大学を援助する、このプロジェクトでした。 「ふるさと納税による寄付はスタートからわずか1カ月半で、約2400万円に上りました。市から大学への補助金という扱いになるため、大学が自由に使える形にはなっていません。『若者の地元定着』のような社会や地域の課題を解決する公益性が高い事業を、大学や学生側から幅広く提案してもらいたいと考えています」
大学応援プロジェクトが全国に
現在、「大学応援プロジェクト」には、北海道大学など、札幌市内の12大学(短大を含む)が参加しています。全国に目を向けると、文部科学省が22年12月に発表した「ふるさと納税を活用した自治体・学校法人の取組事例集」によれば、新潟県南魚沼市と国際大学(同市)、北海道江別市と酪農学園大学(同市)、神戸市の事例が紹介されています。ふるさと納税の仕組みを活用し、特定の学校に対して寄付できる制度は、寄付金を募るひとつの新しい形といえるでしょう。 北海道に限らず、人口減少は各地で大きな課題となっています。その課題を解決する糸口のひとつに、「大学を援助する」という選択肢が考えられるのかもしれません。
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