第162回芥川賞受賞会見(全文)古川真人さん「何でこうなっちゃったんだろう」
九州の島の風土や方言への思いは?
読売新聞:読売新聞の【マツダ 00:15:18】と申します。古川さんの文学の背景になった九州の島の風土とか方言について、あらためて受賞を機に思いを聞きたいのと、もう1つ、今日はスーツでかっこいい姿だと思うんですけど、スーツを着たことへの思いとかあったりするんでしょうか。その2つを教えてください。 古川:まずスーツは、革靴はすごく痛い。これはもう、こういうときにしか履かないんで、よくみんな、こんな履くなっていうのが。あと、ネクタイを久しぶりに巻いたんですけど、結局、巻けずに、編集の人にこの辺ですよっていうのをやってもらったんですけど。 その前のご質問は、あ、方言。受賞を機にっていうのは、特に何か変わるっていうのはございません。なんだろう、方言を、自分が得意だからっていうよりも、自分にとって一番すらすらと出てくる、すらすらと出てくるにつれて、その言葉につれて、考えとか、あるいはその人の動作っていうのが出てくる言葉っていうのが、たまたま島の言葉であったり、福岡の言葉であったという、この意識みたいなのは今でも、何か、芥川賞だからここでそれが大きく意味付けが変わったというわけではありません。 司会:ありがとうございます。それでは、その手前のこちら側の。お願いします。
今回の作品の狙いは?
毎日新聞:毎日新聞の大原といいます。今回はおめでとうございます。先ほどの質問と少し重なりますが、今回の作品、これまでに比べても島の地域の歴史を掘り下げていったような作品だったと思います。そこが選考でも評価されたようなんですが、あらためて、土地の歴史を掘り下げようと思ったその思いといいますか、あるいは狙いといいますか、そういったところをお聞かせ願えますでしょうか。 古川:思いというよりも、狙いとおっしゃいましたっけ? 狙いという点だったら、やっぱり短編連作という形式を取るんであれば、同じ時間を違う短編で書いていくよりも、短編1作ごとに時間を思い切り飛ばせる、飛ばすっていうことを僕自身がやってみたかったって、それがいってみれば狙いっていうようなものでした。 司会:ありがとうございます。あと2問ほどとさせていただこうと思います。お隣の、お願いします。