他人を羨んでばかりいる親が、子どもの成長に与える悪影響
親御さんのなかには、他人の子どもに嫉妬する人もいます。子どもを自分自身の一部だと思い、子どもの出来不出来が親の価値を決めると思っているからなのでしょうか。いつもほかの子どものことが気になり、競争心を燃やしてしまうのです。誰が一番駆け足が速いか、誰がチームの花形か、誰が一番勉強ができるか、誰が一番かわいいか、誰が一番人気があるか、誰がアイビーリーグ(名門大学)に行くか……。 ある若いお母さんが、わたしにこんな話をしてくれました。 「わたしの子どもがまだ絵本もろくに読めないときに、ほかの子どもが難しい児童書をすらすら読んでいたんです。とても妬ましく思いました。わが子がこんなふうになってくれればと思ったのはもちろんです。でも、それだけじゃなく、その子が難しい字に躓いて、読めなくなってしまえばいいと思ったのです。無邪気な4歳の子どもに対して。そのとき、自分はなんていやな人間なんだろうと、ぞっとしました」 世の中には、常に、わが子より優秀な子、駆け足の速い子、勉強のできる子、器量のいい子がいるものです。いちいち嫉妬していたらきりがありません。それに、こんなことは考え方一つでどうにでもなると思います。わが子にはこれができない、あれができないと欠点ばかりを見ているから、ほかの子に嫉妬してしまうのです。そんなつまらないことをしていないで、わが子の長所を見るようにすればよいのです。そうすれば、ほかの子と比較したとしても、すべてはその子の個性なのだと思えるようになるはずです。また、子どもの成功や失敗は、その子自身のものであり、親のものではないのだと肝に銘じることも大切です。子どもの成功や失敗に一喜一憂するのが親というものです。しかし、子どもには子どもの人生があります。自分の叶えられなかった夢を子どもに託して、過剰な思い入れをしないように、いつも気をつけていたいものです。
ドロシー・ロー・ノルト著、レイチャル・ハリス著、石井千春訳