投資の暴落局面における「売るか、売らないか」の判断はどうしたらよいのか。実際の暴落局面を例にFPが解説
投資を始める前にリスク(不確実性)への対応を考えておくことが大切
投資で重要なのは、可能性に対してどのように判断し、振る舞うかです。 「暴落時に売ったほうがよいか、売らないほうがよいか」で意見の対立が起こるのは分かりますが、そこにはほとんど意味はなく、むしろ、「暴落した場合にどのように対処するか」をあらかじめ考えたうえで投資をしたほうがよいといえます。いわゆる、「リスクマネジメント」です。 投資を始める前に「投資は長期でやる」ことを基本路線に置く場合、リスクマネジメントとしては「暴落時でも売らずに持ちつづけよう」と判断することになるでしょう。 一方、「投資は状況によって臨機応変に対応する」と考える場合は、短期的にリスクコントロールすることになるわけですから、暴落時にはすぐに売り、落ち着いたら買い戻すという方法になるでしょう。 投資初心者は一般的に前者のような理屈を説明されるため、「投資は長期でやるもの」と信じ切っている方が多いようです。また、この考え方の長所は、「相場の変動に一喜一憂しない」「仕事などに集中できる」「複利効果が期待できる」などが考えられます。 しかし、投資はあくまでも可能性の話なので、長期でやって損失を被ることもあり得ることは認識しておいたほうがよいでしょう。 また、後者については「リスクコントロールしやすい」という長所はありますが、売買を繰り返すため取引コストがかかることや、NISA(少額投資非課税制度)には不向きであることといった短所もあります。 このように見ていくと、どちらがよいか・悪いかという話ではないことが分かります。つまりどちらにも長短があり、むしろ両方の考え方をうまく取り入れ、投資に生かすことが重要かもしれません。 両方の長所を取り入れる場合、投資は長期的に行うことを基礎にし、局面によっては短期的にチャンスを捉えていく……という方法になるでしょう。 この考え方に基づけば、投資のための資金は長期資金と短期資金に分け、長期資金で積立を行ったり、一括で購入する場合は持ちつづけたりしながら、今回の暴落のようなチャンスが来たときに買い増す……などと方法を採るのも一つの手といえます。