投資の暴落局面における「売るか、売らないか」の判断はどうしたらよいのか。実際の暴落局面を例にFPが解説
8月1日、日経平均株価が暴落しました。保有している株式を売却した方もいたと思われます。「ろうばい売り」という言葉がX(旧Twitter)上でトレンドワード入りをしていたので、特に投資初心者の場合、不安に駆られた方も多かったのではないでしょうか。 そこで今回は、投資を行ううえでのリスクマネジメントについてお伝えしていきます。
暴落時に売ったほうがよいかどうかは誰にも分からない
日経平均株価指数のチャートを、改めて確認してみましょう。 8月1日(金)から週明けの8月5日(月)までの3日間で、7000円を超える下落が起こりました。わずか3日間でここまでの下落が起こるのは非常に珍しいことですが、チャートを見るといかに下落のスピードが速かったかが分かります。 図表1 日経平均株価指数(日足)
※TradingView提供(解説を目的に使用しております) このような暴落局面では、売買の判断は非常に難しく、どこまで下がるかが不透明なため、売り急ぐ投資家が出るのも致し方ないことでしょう。NISA(少額投資非課税制度)を活用して投資を始めたばかりの方にとってはなおさらかもしれません。 このように売ってしまう行為に対し、「投資は止めてはダメ」「一喜一憂しないことが大事」「いつかは戻ってくる」「投資は長期で行うもの」といった声も目立っていたようですが、不安で頭がいっぱいになってしまった投資家にとってはそれどころではなかったでしょう。 正直にいってしまうと「売りたい」と思えば売ればよいし、「売らないで持ちつづけよう」と思うなら売らなければよいし、ただそれだけのことです。どちらがよいかはそのときに分かるものではなく、後からしか分かりません。結果をいえば、下げ止まり、反転上昇したので、「売らないほうがよい」という意見が優勢であったことになります。
暴落局面で「売るか、売らないか」は、可能性としてどちらも成り立つ
「売ったほうがよい」「売らないほうがよい」という意見の対立には、さほど意味はありません。なぜならば、売って利益を得るケースも、売らずに利益を得るケースも現実的には成立し得ることであり、単なる可能性の問題だからです。重要なのは、両方の可能性に対し、どのように判断するかです。 〇売らずに持っておいたほうがよいと判断する場合 「売らずに持っておいたほうがよい」と判断する場合、テクニカル的には次の点が根拠となります。 これは週足のチャートですが、暴落当時から週足で、下ヒゲの極めて長い陰線が現れていました。投資に慣れている人は、この陰線の意味するところはお分かりでしょうが、このようなローソク足の形は反転上昇のサインとして知られています。 図表2 日経平均株価指数(週足)