あと一歩で届かなかったタイトル。それでも柏レイソルU-18の3年生たちがサッカーと生きる旅はこれからも続いていく 高円宮杯プレミアリーグEAST 川崎フロンターレU-18×柏レイソルU-18マッチレビュー
「今までずっとこの年代は追い掛ける立場が多かった中で、自分たちが追われる立場となった時でも、やることは変えずに、自分たちを信じてやっていこうということは意識して、この1週間は練習に取り組んでいました」と語ったのは栗栖。少しずつ、少しずつ、“いつも通り”を取り戻しながら、彼らはこの日の決戦に向かってきた。
だが、明らかに動きは硬かった。
「いつも通りではなさ過ぎて……。いつもだったら絶対にミスにならないようなパスミスも多くて、それは雑になっていたというよりは、緊張してしまっていたことで、いつもみたいにちゃんと考えることなく、パスを出してしまうところがありました」(藤谷)
37分には先制点を献上し、1点のビハインドを負っていたハーフタイム。指揮官は選手たちに具体的な数字のイメージを提示して、語りかける。「藤田さんがハーフタイムに『優勝したいという気持ちが先に行って、120パーセントのパワーを全員が出そうとしてしまっていて、それで逆に難しい方向に行っているんじゃないか?』と。『自分たちがやってきたことに間違いはないから、80パーセントや90パーセントでやれれば必ず結果は付いてくる』というふうに言っていたんですけど、本当にその通りだなと感じました」(栗栖)
いつもより“20パーセント”近く入ってしまっている余計な力を抜き、今までやってきたことを過不足なくピッチで表現する。選手たちも頭ではわかっていた。実際にそう振る舞おうとした。だが、一度軋んだ歯車はなかなか噛み合わない。後半に入ってもゴールを予感させるようなアタックは、ほとんど繰り出せない。
84分。長南開史、戸田晶斗と繋いだ流れから、ようやくストライカーのワッド・モハメッド・サディキに決定機が訪れたものの、渾身のシュートはクロスバーの上へ消えていく。「プレーできなかったです。まあ……、今日は勇気を持たせてあげられなかったというところ、普段できていたことができなかったというところですね。彼らは追い掛けられる経験がなかったと思うので、技術というよりはメンタリティのところが理由なんじゃないかなと思います」(藤田監督)
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