悩み相談】「スマホ使いすぎ!」注意したら、逆ギレされた… 「ビリギャル」小林さやかさんの答えは?
現代の子育てで避けて通れない「スマホ問題」。特に子どもの年齢が上がってくると、以前は守っていた親との取り決めを守らないケースも増えてくるようです。そうしたリアルな悩みを聞いてくれるのは「ビリギャル」として知られ、現在はアメリカのコロンビア大学教育大学院で学ぶ小林さやかさん。「子どもにもリスペクトを」と語る彼女が、親世代に送るアドバイスとは? 【写真】「ビリギャル」は日本だから生まれた 小林さやかさんが語る日米の受験システム
【質問】
高校1年の娘は、夜遅くまで友達とLINEをしたり、スマホでゲームをしたりしています。中学時代までは「夜10時以降はスマホを使わない」という約束を守っていたのですが、高校生になってから守らなくなってきました。「9時以降は返信できないとLINEのプロフィールに書きなさい」と叱ると、子どもに「そんなことしたら恥ずかしい。連絡が来なくなったらどうしてくれるの!」と逆ギレされます。先日、娘のスマホを見ようとしたら、暗証番号が変えられていました。どうすればスマホとうまく付き合いながら、勉強にも身が入るでしょうか。(母親・46歳・神奈川県在住)
【回答】
高校生にもなれば、彼らには彼らの社会があります。本人の意思ならともかく、親御さんの言いつけでLINEのプロフィールにそんなことが書いてあったら、娘さんの言う通り交友関係になにかしら支障が出る可能性があるのでやめたほうがいいと思います。 私は今、コロンビア大学の教育大学院で認知科学について学んでいます。こちらに来てから、日本をはじめ東アジアの国は、目上の人を敬うべきという考えが強いんだと改めて感じるようになりました。欧米では「人間はそれぞれ違う」「自分の意見を持つのって大事だよね」という意識が強くて、この考え方は子育てにも反映されています。公共の場で子どもを大声で怒鳴りつけているお母さんや、娘の前で裸で堂々と歩くお父さんなんかは、虐待を疑われて通報される可能性だってあるそうです。子どもにはプライバシーや意思がある。それを尊重すべきというのは、子どもの発達の視点から見ても重要なことだと思います。 文面から察するに、このお母さんは「子どもはまだいろんなことができないから、親がコントロールしてあげなきゃ」と信じているのではないでしょうか。確かに、特に思春期の子どもって、めちゃくちゃバカなことをすることがありますよね。バイクで危険な走り方をしたり、先生に無駄に反抗してみたり。でもこれは、感情や行動を抑制する脳の前頭前野が未発達だからなんです。脳がフルに発達するのは20歳前後と言われていて、それまでは大人に比べると高度な理性的判断が難しいということが科学的にも証明されています。つまり、子どもが自分をコントロールするのが難しいのは、仕方がないことなんです。これを理解しておけば、親御さんも少し気持ちが楽になるんじゃないかな。 そして、それよりもずっと大事になってくるのは、失敗と成功を積み重ねながら、子ども自身が困難を乗り越える力をつけること。親は子どもより先に死んじゃうんだから、一生ついて回って管理することはできませんよね。子どもを信じるトレーニングをしないと、このままでは、お母さんが思っている以上に関係がこじれたり、子どもが苦労したりすることになると思います。