性被害訴える女性検事が語った苦悩「気持ちも身体も完全に凍りついた」 大阪地検・元検事正の被告が一転、無罪主張【報道特集】
その4年後の2023年12月、性被害の後遺症に苦しみ続けたAさんは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、休職を余儀なくされた。 “検事としての尊厳を取り戻し、前に進みたい”―。 2024年に入り、Aさんは自ら受けた被害を検察幹部に相談。刑事告訴に踏み切ることを決意した。 そして、6月。 準強制性交の疑いで北川被告は検察に逮捕・起訴された。 北川健太郎被告 「公訴事実を認め、争うことは致しません。被害者に重大で深刻な被害を与えたことを心から謝罪したいと思います」 10月に行われた初公判では罪を認め、Aさんに謝罪した北川被告。 だが12月に入り、突然、「無罪」を主張する方針に転じたのだ。 その理由について、担当の弁護士は「北川被告には、Aさんが抵抗できない状態だったという認識はなく、同意があったと思っていた」と説明したうえで、こう付け加えた。 中村弁護士 「その後の一部の事件関係者に生じた情報漏洩等に係るあらぬ疑いや、検察庁に対する組織批判により(北川被告は)自らの記憶と認識に従って主張することにしました」 ■「性行為には同意があった」同僚からの二次被害も “事件関係者に生じたあらぬ疑い”とは、Aさんが初公判後の会見で主張した、同僚からの“二次被害”のことだ。 被害を訴える 検事Aさん 「今回の事件の関係者である女性副検事が、内偵捜査中の時点で、被告人側に捜査情報を漏洩し、被告人が当初弁解していた内容に沿う、事実と相違する供述をしていたことが分かりました」 事件当日、Aさんとともに懇親会に出席していた女性の副検事。 かつて北川被告の秘書だったこの副検事が「性行為には同意があった」と周囲に広めたり、北川被告に捜査情報を漏らしたりしたと、Aさんは会見で訴えたのだ。 彼女とは大阪地検の同僚で、二人で食事をする仲だったというが、裁判に向け、事件の証拠資料を閲覧するなかで、この副検事の供述を目にしたとAさんは話す。