性被害訴える女性検事が語った苦悩「気持ちも身体も完全に凍りついた」 大阪地検・元検事正の被告が一転、無罪主張【報道特集】
その後、「気持ち悪いので、水を飲ませてほしい」と言ったAさん。すると、北川被告はAさんの腕をつかんで台所に連れていき、水道水を飲ませたあと、再び加害を始めたという。 官舎を出ることができたのは、午前2時ごろ。 Aさんは、自宅の風呂場に駆け込んだ。 被害を訴える 検事Aさん 「とにかく彼から触られた、汚された部分を綺麗にしたいという気持ちから、証拠を残さなきゃとか、頭に全く回らずに、検事なのに情けない話ですけど、全て洗い流しました。洗い流して、子供を抱きしめて泣きながら寝ました」 “性被害を受けたのは、泥酔した自分の責任―”。 事件後、Aさんは自らを責め続けた。 ■北川被告「警察でもどこでも突き出してください」から一転「私の命に代えてやめていただきたい」 数日後、その苦悩を綴ったメールを送ると北川被告からは、後日、こんな言葉を告げられたという。 北川被告 「警察でもどこでも突き出してください。時効が終わるまではちゃんと対応します。食事をご馳走したりします」 北川被告の性加害に対する認識に落胆したものの、すぐに被害を訴えることは出来なかったとAさんは話す。 被害を訴える 検事Aさん 「当時、私はまだヒラの検事で、力のない一検事が訴えたとして、皆が彼の言い分を正しいと言っていくのではないかという怖さがありました」 事件からおよそ1年が経過した、2019年10月。 性加害の理由を書面で欲しいとしたAさんに、北川被告は、事件を口外しないよう求める直筆の手紙を送ってきたという。 北川健太郎被告からの手紙(抜粋) 「この被害を表ざたにすれば、私は絶対に生きていくことはできず、自死するほかないと決意している。大阪地検の検事正による大スキャンダルとして、組織は強烈な批判を受け、立ち行かなくなるので、私の命に代えてやめていただきたい。以前からあなたのことが好きだった。あなたの同意があると思っていた」 翌月、北川被告は定年を前に“一身上の都合”を理由に退職した。