社内システムをワンオペしているのに突然クビになったSE。家賃滞納者に督促を行う家賃保証会社員。働く苦悩や喜びにきっと共感する、お仕事漫画5選【書評】
本作では、スーパーマーケットで慌ただしく奮闘する人々が登場する。カット野菜の作業や品出し、陳列などの仕事がどれほど体力を要するかには驚かされる。特に大量の野菜を前に奮闘する様子からは、現場の苦労がリアルに伝わる。登場人物たちの温かい交流も描かれ、職場のベテラン主婦2人との掛け合いは見どころのひとつ。漫才のようなやり取りと、豊富な青果知識で主人公を支える彼女たちはコミカルながら頼れる存在だ。さらに「おいしい野菜の見分け方」や「保存のコツ」など、実生活に役立つ情報も盛り込まれている。 身近な場所が、働く人々の努力によって支えられていることを実感できるだろう。また、普段の買い物では気づけない新たな視点を与えてくれる。読後には、青果コーナーでの買い物が少し特別に感じられるかもしれない。
出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱
衣食住の中でも特にお金との関わりが深い「住まい」と「家賃」を題材にしたコミックエッセイ『出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱』。家賃保証会社の仕事を通じて、高齢社会や社会制度など現代日本のリアルを映し出している。
本作の主人公は、家賃滞納者に対する督促業務を担当している。生活保護を受ける者、風俗業の女性、裕福ながら支払いを拒む人、時には既に亡くなった人など、多様な背景を持つ滞納者たちと対峙していく。「出ていくか、払うか」を迫るだけにとどまらず、滞納者たちの人生や苦しい事情に思いを巡らせ、苦悩する場面も多い。主人公が悩む姿は、読者の胸を強く打つ。また、随所に賃料や家賃保証制度に関する豆知識がちりばめられており、楽しみながら学びも深まる作品だ。 家賃という馴染み深い切り口から、日本社会が抱える問題や生きることの難しさを描き出している。重いテーマを扱いながらも、親しみやすい語り口と奥深い内容に惹き込まれてしまうだろう。
工務店の日報
『工務店の日報』は、工務店の裏側と心温まる日々をユーモラスに描いたコミックエッセイだ。実在する大阪の工務店の日常を題材にしており、SNSでも多くの読者に愛されている作品だ。