やさしさと忍耐強さが必要な認知症の人の介護。93歳の介護職員「大切なのはその人の変化でなく<病気がそうさせている>と理解すること」
◆気をつけることは… 気をつけることは、その人の状態を見ながら、無理のない課題を選ぶことです。 理解できない場面では目の前の光景が悲しみ、怒り、妬(ねた)み、嫉(そね)み、恨みなどの負の感情を呼び覚まし、いきなり激昂(げっこう)して投げ出すことがあります。 認知症の人は、孤独になると不安でまわりの状況がわからなくなります。 慣れない環境に置き去りにしないこと。 よく知る人が近くで根気よく声をかけると安心して表情が明るくなったり、生活力の向上が見られることがあります。
◆命の限り、ともに悩み歩んでいきたい 今までにない物忘れや失敗が気になったら、できるだけ早く物忘れ外来や地域包括支援センターに相談し、適切な指導を受けるとよいでしょう。 長い間、治らないといわれてきた認知症も、障害部位の周辺にある健康な脳細胞を活性化することで、失った機能を代替(だいたい)し、元気なころの記憶をとり戻すという報告を聞いたこともあります。 医学的治療が完成されるその日まで、命の限り、ともに悩み歩んでいきたいと思っています。 ※本稿は、『93歳、支えあって生きていく。』(Gakken)の一部を再編集したものです。
細井恵美子