ラーメン外食費が2年連続日本一の「山形市」。ラーメンが深く愛される街には、老舗へのリスペクトが深く根付いている
ラーメン文化が強く根付いている山形では新しいラーメンはなかなか受け入れられてこなかったが、「麺藤田」藤田店主や「鶏冠」桜井店主のようなバイタリティのある店主の手によって新たな歴史が生まれてきている。この広い多様性こそが山形のラーメンの大きな魅力の1つである。 「もともとおそば屋さんが先にあって、後にラーメンがついてきた歴史があります。我々が子供のころはラーメンの出前もそば屋からとることが多かった。
まだまだ浅い歴史の中で、山形のラーメンは伸びしろだらけで、自由で縛りがありません。これからもどんどん新しいものが広がっていくと思います」(桜井店主) ■「ラーメンの聖地、山形市」を創る協議会の立ち上げ 山形市にある名店「麺辰」の店主・鈴木敏彦さんは2022年11月に立ち上げた「ラーメンの聖地、山形市」を創る協議会の会長を務める。 15歳の頃に山形市にあった「五一ラーメン」の職人の姿に惚れ、3年間修業。その後、名店「寿々喜そば屋」で13年間修業し、2008年に独立した。全国的にも珍しいそば屋出身のラーメン店主である。
「私が店をオープンした頃は、山形が『ラーメン王国』だということは認識したこともなく、全国から山形にラーメンを食べに来てもらおうとは考えたこともありませんでした。 やはりきっかけはコロナの大打撃で、この時に山形のラーメン全体を盛り上げる方法はないかと考え始めたのです」(鈴木店主) コロナ禍で営業が難しくなったこと、さらにはラーメン消費量で新潟市に王座を明け渡したことがきっかけとなり、山形市がラーメン日本一を奪還するための活動がスタートしたのだ。市内のラーメン店4店が発起人となり、協議会を発足させ、山形市に協力を仰ぎに行った。
市が主導してラーメンを使って県外から観光客を誘致しようという動きがスタートし、市長が2月8日を「山形市ラーメンの日」に制定するなどした。 山形市の活動を今度は山形県全体に広げるべく、「新旬屋 本店」の店主・半田新也さんを中心に動き出している。 「山形に『ラーメン王国』という言葉はもともとありましたが、県内にいると山形市、赤湯、酒田、鶴岡など各地に有名なラーメンがあるので、これで十分だと思ってしまっていました。ただ、県外のイベントに出たことでまったく景色が変わりました。