ラーメン外食費が2年連続日本一の「山形市」。ラーメンが深く愛される街には、老舗へのリスペクトが深く根付いている
山形の人たちにとってラーメンは本当に身近な存在。逆に、つけ麺を食べるという選択肢は一切なかったのである。SNSの書き込みを見ると心が病んでくるので、ネットは一切見ずに自分のつけ麺をブラッシュアップし続けた藤田さん。10年経ってようやくつけ麺が市民権を得てきた。 「山形の人たちからすればラーメンを日常的に食べるのは当たり前のことですが、メディアが“山形=ラーメン”と盛り上げてくれているのを見て、県民に火がついてより食べるようになってきているような気がします。
メディアが盛り上げてくれたこと、そして何よりラーメンを消費してくれる県民の皆様のラーメン愛からなる三位一体の力が大きいと感じます」(藤田店主) お店を10年続けてきたことにより、県内のお客さんはつけ麺を食べるようになってくれたが、逆に県外からのお客さんはいまだに9割の人が中華そばを注文するという。それは“山形=ラーメン”になっているからだと藤田店主は分析している。 「ラーメンは自由だからこそいろんな人が食べてくれるのだと思っています。山形市はラーメンの消費量は全国1位ですが、ご当地ラーメンは“冷やしラーメン”ぐらいしかありません。他はなんでもござれでいろいろなラーメンがあり、だからこそいいのだと思っています」(藤田店主)
■広い多様性が山形のラーメンの大きな魅力の1つ 山形市で鶏の芳醇なスープで人気の「鶏冠」。2016年にオープンしたお店で、これまで山形にはなかった新しいラーメンを広めていった。 「埼玉の『四つ葉』の味に感動し、ローストポークをのせたり、低加水の麺を使ったりと今まで山形の人たちが食べたことのないラーメンを展開しました。はじめは『これはラーメンじゃない。そばか?』と罵られることも多く、1年半批判を浴び続けましたが、メディアに紹介されてからお客さんが増えていきました」(「鶏冠」桜井洋一店主)