Pinterest の再興:オンラインショッピング強化と広告市場への復帰
トレンドデータと戦略的マーケティングの強み
メタ(Meta)やTikTokのような、その瞬間の体験にフォーカスしたプラットフォームとは対照的に、昔からPinterestは、重要なショッピングホリデーに先駆けてマーケティング戦略を綿密に計画するブランドには役に立つ存在だったと、ジョンストン氏はいう。 「Pinterestは、実際に信じられないほど貴重なトレンドデータを大量に保有しており、多くの場合、ブランドはほかのプラットフォームで実際にヒットする前に、Pinterest上で特定の関連コンテンツの急上昇やトレンドを目にできることが多い」。 「Pinterestは、ブランドがより早く市場にコンテンツを投入して種をまきはじめることができるため、実際にある程度のテストベッドのようになっている」と話す。 こうしたPinterestの実験的な性質は、広告費が大きく落ち込む中で小売業者がそのような三次的なテストプラットフォームを削減しようとしたため、昨年は同社に打撃を与える結果となったというのがジョンストン氏の意見だ。
TikTok禁止令と市場の変化がもたらす新たな機会
だが不況への懸念が和らぐにつれ、それも変わりはじめている。さらに、TikTokの将来を脅かす米国での禁止令が迫っているため、小売業者は新しいマーケティングチャネルを試すことにこれまで以上に前向きになっている。 そう話すのは、エージェンシーのデジショップガールメディア(Digishopgirl Media)の創業者、カティア・コンスタンティン氏だ。「ブランドは、何か変化があった場合のプランを準備しておくべきではないかという話をしている。不意を突かれたくないのだ」。 コンスタンティン氏のクライアントのうち約10社は、昨年初めに広告予算からPinterestをカットした。「現在では、1年前にはPinterestに広告を出していなかった広告主が、5%程度の少額の予算をPinterestに割り当てているのを目にしている」とコンスタンティン氏は述べている。 とはいえ、誰もがPinterestに投資する価値があると確信しているわけではない。 世界的に約200ブランドの代理店を務めるエージェンシー、ポディーン(Podean)の創業者兼CEOのマーク・パワー氏は、「Pinterestはリテールメディアに全面的に参入しているほかの企業ほど洗練されてはいないと考えている」と述べた。「その一方で、この業界におけるほかの企業は全力で前に進んでいる」。 [原文:Brands are making room for Pinterest in their ad budgets] Allison Smith(翻訳:Maya Kishida 編集:坂本凪沙)
編集部