ウクライナに数少ない光明 北東部クプヤンシクからロシア軍を駆逐
ロシアがウクライナに対して起こして2年9カ月あまりたつ戦争の重要な2つの方面で、ウクライナ軍はロシア軍の容赦のない攻撃を受けている。 現在、戦闘の焦点になっているロシア西部クルスク州では、ウクライナ軍のざっと2万人ほどの侵攻部隊が、数千人以上の北朝鮮部隊を含むロシア側の総勢少なくとも5万人規模の反撃部隊を押しとどめようと苦闘している。 また、ウクライナ東部ドネツク州の南部では、ウクライナ軍の疲弊した数個大隊(1個大隊はせいぜい400人)規模の部隊が、ロシア軍の1個師団規模の自動車化狙撃部隊による包囲を避けるべく懸命に戦っている。この方面のロシア側の兵員数はウクライナ側の5倍にのぼるかもしれない。 だが、ウクライナ北東部ハルキウ州の最前線の都市クプヤンシク方面では、勢いがあるのはウクライナ側かもしれない。この方面の10個ほどのウクライナ軍旅団を統括するホルティツャ作戦戦略軍集団は26日、クプヤンシクからロシア軍を押し出したと発表した。 ロシア軍の第25独立親衛自動車化狙撃旅団の所属とみられる突撃部隊は2週間ほど前、集中的な砲爆撃に掩護されながら進撃し、全面戦争前におよそ2万7000人が住んでいたクプヤンシクの市内に侵入した。だが、攻撃は常に防御よりも多くのリソースを必要とする。ロシア軍はこの方面でウクライナ軍よりも人員と装備で優位にあっても、侵入したエリアの支配を固めるには不十分だった。 苦肉の策と言うべきか、ロシア軍部隊はボートでオスキル川を渡り、クプヤンシクの守備隊を側面から攻撃しようともしているが、ウクライナ側はこれらの部隊も撃退していると報告されている。 ホルティツャ作戦戦略軍集団にとって助けになっているのは、ロシア軍の攻撃によって壊滅状態になったり、クルスク州やドネツク州への増援に躍起になっているウクライナ軍の指揮官たちによって分割・分散されたりしていない、実戦経験の豊富な旅団が少なくとも1個残っていることだ。陸軍の第14独立機械化旅団である。 ウクライナ軍の戦力組成を追跡しているウェブサイト「Militaryland」は、第14機械化旅団を「ウクライナ地上軍(陸軍)のなかでも熟練度が高い部隊のひとつ」だと評している。