ウクライナに数少ない光明 北東部クプヤンシクからロシア軍を駆逐
ロシア軍は砲爆撃で住民に避難を強いようともしている
第14機械化旅団は、ウクライナ製の現代的なT-84「オプロート」戦車や、それよりも新しい、鹵獲したロシア製T-72B3戦車など、雑多な装甲車両に乗っている。クプヤンシク方面では、ウクライナ国家親衛隊の第4作戦任務旅団(通称「ルビージュ旅団」)の戦車も戦闘を行っている。この戦車は、1970年代にさかのぼるT-72B戦車に追加装甲を施したもののようだ。 ウクライナ国防省が最近公開したある映像のなかで、ルビージュ旅団の戦車は、壕に入ったロシア軍部隊と至近距離で交戦している。戦車はじりじりと後退しながら、執拗に樹林帯の敵陣地を125mm砲で砲撃している。乗員が戦車を絶えず移動させているのは明らかに、応射で被弾しにくくするためだ。 冬が訪れ、ドナルド・トランプ次期米大統領の就任まで2カ月を切るなか、クプヤンシクからのロシア軍の駆逐は、兵力に劣るウクライナ軍にとって数少ない朗報だ。トランプはウクライナでの戦争を終わらせると宣言している。トランプのチームは戦線を現状で凍結させる停戦案を検討しているとされるが、その場合、ウクライナは国土の2割近くを事実上、ロシアに明け渡すことになる。 ロシア軍はクプヤンシクをあきらめていない。ただ、クプヤンシクを完全に占領できない場合は次善の策として、市を南北に貫き、この方面の前線を大まかに形作っているオスキル川沿いの陣地を固めようとするかもしれない。 ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は先週末の作戦状況評価で「ロシア軍はオスキル川東岸の村々から民間人を避難させるために、大砲や多連装ロケット砲、滑空爆弾を用いて攻撃を激化させている」と説明している。
David Axe