京都府京丹後市は全国でもトップレベルの健康長寿!その理由は「食卓」にあった
人生100年時代と言われる現代、せっかく長生きできるなら、いつまでも元気に活動的な生活を送りたい、とは思わない? 【写真】調査で判明!健康で長生きしている人が食べているものは? そこで今回注目したのが、京都の北方にある京丹後市。男性の長寿世界一としてギネス登録されている木村次郎右衛門さん(享年116歳)が生涯を過ごしたのも、この京丹後市。なぜこれほど元気で長生きな人が多いのか?
健康長寿の秘けつ
京都市から車で2時間半の場所にある京丹後。この街は、全国平均に比べて、人口に占める100歳以上の割合が全国トップレベルだという。 なぜこれほどまでに長寿の人が多いのか、その理由を解明するため、京丹後市に暮らす65歳以上の住民を対象に行った研究が2017年よりはじまっている。 この研究で明らかになったのは、京丹後の人々は高齢になっても血管年齢が若く、認知症の発症率も低い、そして大腸がんの罹患率も低いということ。つまり、京丹後の長寿者はただ長生きなのではなく、健康長寿であるということが分かった。そう、京丹後市には元気で活発な高齢者がたくさんいる、というわけだ。 さらに興味深いのは、京丹後の高齢者の腸内細菌を調べたところ、酪酸菌(らくさんきん)が多く存在している、ということ。これが、京丹後の人々の健康長寿の秘けつなのでは、と研究者の間で注目されている。 ▼酪酸菌とは? 私たちの大腸内には善玉菌、悪玉菌、そして日和見菌の3つのグループに属する多種多様な腸内細菌が生息している。善玉菌が優位であれば、排便もスムーズでバランスの良い状態。一方、悪玉菌が増えすぎてしまうと、大腸内にある食べカスが腐敗して環境が悪化し、便秘などのトラブルを招いてしまう。つまり、悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすことが◎。 善玉菌は、ビフィズス菌や乳酸菌といったものがよく知られている。それらに加えて、注目したいのが、京丹後の高齢者のお腹の中に多く生息しているという「酪酸菌(らくさんきん)」だ。 酪酸菌は、短鎖脂肪酸の一種である「酪酸」という成分を多く産生し、酪酸菌の役割は研究でも明らかになっている。注目したいのは2つ。まず、酪酸が大腸のぜん動運動を刺激するということ。人の細胞というのは、血液と一緒に運ばれる酸素や栄養をもとに活動しているが、大腸は酪酸をエネルギー源にしている。つまり、酪酸が多ければ多いほど大腸は元気に働ける、というわけ。2つ目は、酪酸が大腸内を弱酸性モードに保つことができ、悪玉菌の増殖を防ぐ、ということ。実は、ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌は酸素が苦手。一方で大腸が弱酸性であれば、善玉菌は安心して大腸に住み続けることができる。このようにして、酪酸菌は腸内環境を整えるのに、大きな役割を果たしている。