考察『光る君へ』36話 運命の皇子誕生!『紫式部日記』にも記された貴族たちの無礼講「五十日儀」で、ついに赤染衛門(凰稀かなめ)に気づかれた?「左大臣様とあなたは、どういうお仲なの」
『源氏物語』を読みたがる清少納言
定子の第三子・媄子(よしこ)内親王逝去。定子が命懸けで産んだ子が、わずか9歳でこの世を去るという……なんとも言葉にし難い、この世のむごさを感じる。 内親王の弔問のため、伊周(三浦翔平)の邸宅を清少納言が訪れた。 定子の死後の清少納言の動向は『枕草子』を書き続けたということ以外、はっきりとはわかっていない。様々な説、伝説・逸話が残る。なので、ここから先に見るのはドラマオリジナルの清少納言だろう。 皇后・定子と共に内裏から辞し、その死後は竹三条宮で脩子(ながこ※定子の第一子)内親王に仕えて静かに暮らす清少納言は、彰子の懐妊と、帝が『源氏物語』を愛読していること、それを書いたのがまひろということを知らなかった。 かつてなんでも打ち明けられる友人であったまひろが、定子の仇である道長の政権を助ける物語を書いたことに衝撃を隠せない。そして、 「その物語を私も読みとうございます」 『源氏物語』を読み、このドラマの清少納言がどんな評価をするのか。不安と期待、両方がある。
道長が変わった?
中宮の出産を記録する公文書では、漢文による記録が通例であった。が、道長はまひろにも出産記録を依頼する。 そう。『紫式部日記』は中宮・彰子が宿下がりした土御門殿の描写から始まる。それは文学的でありながら詳細な記録である。書き手が、中宮のすぐ傍に侍ることができる、御簾や几帳の中にも入ることができる女性ゆえに、そして紫式部という作家だからこそ残されたものだ。 ところで、この場面で気になった台詞がある。道長が、 「中宮様の晴れの場。のちに続く娘たちにも役立つように残したいのだ」 サラッと言っているのだ。のちに続く娘たち……? もともと入内は女子を幸せにしないのだと、しかし彰子は穏やかな世のためのいけにえに捧げるのだという悲痛な覚悟で入内させた彼が、姸子ら他の娘たちも入内する前提で話しているのか。もちろん、現在権力の頂点に立つ左大臣で、くわえて后である娘が帝の子を産むとなれば、その権力は揺ぎないものになる。彰子の妹たちも入内するのは当然の流れだ。しかし、敦康親王の処遇について話を逸らしたことといい、この「のちに続く」がなんの躊躇もなく口から出たことといい。これまでの道長とは、徐々に変わってきていると思うのは考えすぎか。
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