考察『光る君へ』36話 運命の皇子誕生!『紫式部日記』にも記された貴族たちの無礼講「五十日儀」で、ついに赤染衛門(凰稀かなめ)に気づかれた?「左大臣様とあなたは、どういうお仲なの」
しばしばしばしば、ひそひそ
お産のために実家の土御門殿に宿下がりする中宮・彰子とともに、まひろたち中宮女房ズも土御門殿に移る。 33話で局では集中して書けない、よく眠れないと訴えたまひろの言葉を覚えていた道長は、ほかの女房たちとは離れた部屋を倫子に用意させる。そして、倫子からまひろに、中宮の母として感謝の言葉……。かつて「まひろさん」と呼んでいたのが「藤式部」に、語りかけるときは「いらしてくださいね」などだったのが「自分の家のように過ごしておくれ」。 そう。もう親しい友達ではない。ふたりは主従関係になっている。微笑んだ倫子が立ち去ったあと、まひろが気まずそうにしているのは、道長との関係を後ろめたく思うゆえか。 中宮の学びは土御門殿に里帰りしても続く。 まひろ「瑕(きず)とは大切な宝なのでございますよ。瑕こそ、その人をその人たらしめるものでございますれば」 29話で清少納言(ファーストサマーウイカ)に語った「人には光もあれば陰もある、それが複雑であればあるほど魅力を増す」というまひろの考えは一貫している。生きていれば人間には瑕ができる。すべって転んでしくじって、経験が作る瑕が人間性に陰影と深みを与えるのだと。 そこに、妍子(きよこ/倉沢杏菜)教通(のりみち/吉田隼)威子(たけこ/栢森舞輝)嬉子(よしこ/平尾瑛茉)が姉である中宮に挨拶に訪れる。未来の三后と東宮妃、関白太政大臣が勢ぞろいの場面だった。 左衛門の内侍(菅野莉央)が、藤式部の悪評工作を仲間内以外に広げ始めた。赤染衛門に「くやしくはございませんの?」と持ちかける。しかし笑顔で大人の対応をする赤染衛門……。これでは乗ってこないのかと、左衛門の内侍は藤式部と左大臣・道長の仲が怪しいと畳みかける。 左衛門の内侍「左大臣様は藤式部の局にしばしばしばしばお立ち寄りになるように」「毎度、ひそひそひそひそと」 しばしば×2と、ひそひそ×2は台詞で聞いて可笑しかったが、文字にしても面白いな。これにも素敵な笑顔で「大事なお話があったのでございましょう」とかわす赤染衛門先生! さすがです! しかし、内侍に背を向けた瞬間に厳しい表情に変わる。これは教え子・まひろを心配してか、それとも内裏で倫子の面目を潰すような噂を立てられていることを懸念してか。果たして。 そんな赤染衛門先生の気持ちをよそに、廊下で偶然出会ってわずかに微笑みあうまひろと道長。いや、あの……会社内ですれ違う時に目配せしあう不倫カップルみたいだから。そういうのは本人たちが思っている以上に、周りの人はしっかり見てるものだから、柱や御簾の陰からとか。もうちょっと気をつけてほしい、こっちがヒヤヒヤするし。
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