多様化する事業承継にアセットファイナンスまで取り組む ~ 日本エクイティバンク・西尾公伸社長 単独インタビュー ~
―M&A業界について思うことは
「売る」という選択肢しかない状況には違和感がある。経営者の中には優秀な方も多い。そのような方に早々に引退してもらうのは勿体ない。現役で頑張ってもらうのも一つの仕組みとしていいと考える。 ◇ ◇ ◇ TSRが企業を取材する場合、大半は経営者(社長)が対応するが、なかには社長の子息・親族の場合もある。そこで調査項目の一つである事業承継、後継者を問うと、子息や親族は「考えていると思うけれど、知らない」、「あまり詳しく聞かないでくれ」と言葉を濁されることもある。子息や親族でも面と向かって経営者に進退話をすることが難しい、微妙な空気があることを感じさせられる。 ただ、事業によっては事故と隣り合わせの業態もある。その場合の対応を考えると、事業承継はさし迫った課題に浮上してくる。それを見守る家族も巻き込むことになる。 日本エクイティバンクが手がける承継保証サービス「GRIT」やエクイティ・ファイナンスサービス「OWNERS」は、本来は金融機関などが設計すべき仕組みかもしれない。しかし、金融機関では痒いところに手が届かない現実がある一方、経営者の父、そして家族を西尾氏が真剣に考えてきたからこそ生まれたサービスとなった。 これらのサービスは経営者と、それを見守る家族の気持ちにも寄り添うもので、事業承継の壁を克服する「三方よし」にもつながる。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年10月23日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)