多様化する事業承継にアセットファイナンスまで取り組む ~ 日本エクイティバンク・西尾公伸社長 単独インタビュー ~
2024年1-9月の後継者難倒産は346件(前年同期322件)で増勢をたどっている。この背景には、事業承継がうまく進んでいないことが大きい。だが、従来と異なる切り口で事業承継サービスに取り組み、実績を伸ばしている企業がある。 東京商工リサーチ(TSR)は、事業承継のサポートを手がける日本エクイティバンク(株)(TSR企業コード:035281715、東京都港区)の社長で弁護士の西尾公伸氏に、設立の背景や今後の展望などを聞いた。 西尾公伸氏 2007年 中央大学法学部卒 2010年 大阪市立大学法科大学院卒業 2011年 弁護士登録、Authense法律事務所入所 2015年 横浜オフィス支店長就任 2016年 弁護士統括就任 2022年 ユニバーサルスポーツジャパン(株)監査役就任 2024年 日本エクイティバンク(株)を設立し、代表取締役に就任
―家業について
私の祖父は、大阪でガソリンスタンドを創業した。その後、父が事業を引き継ぎ、叔父はガスの販売会社を運営している。その背中を見て育ったが、私が中学生の頃、父親が脳梗塞で入院することとなった。ガソリンスタンドには乙四資格を有する者が常駐していなければならない。高齢の祖父が常時店頭にいるわけにもいかず、叔父は外回りが中心であったため、ガソリンスタンド内に資格者が不在となる事態がありえた。母の助言もあって、私は猛勉強して資格を取得し、事なきを得た。その後、父は復調し、現在もガソリンスタンドを運営している。ただ、場合によっては私が事業を継がざるを得ない事態だった。
―弁護士となったきっかけは
父親の背中を見て育ったこともあり、手に職をつけて生計を立てていくイメージがあった。また、妹が出生時の医療事故で、障害を背負うこととなった。現在の扱っている分野とは異なるが、法曹に強みがある中央大学の入学時には、医療過誤を法律の観点からアプローチできるのではとも考えていた。 大学在学時はアメリカンフットボール部で主将も務めていたため、就職活動は二の次だった。大学に在籍し続けて、就職活動を行う選択肢もあった。しかし、司法試験を受け、弁護士として手に職をつけたいとも思っていた。適性試験を受けた結果、大阪市立大学法科大学院に合格することができた。