【ナゼ】“保守分裂&裏金対決”二階VS世耕に“意外な大差”がついたワケ…比例復活すら許さない圧勝劇の背景
■「ソフトの世耕」
一方の世耕氏。二階氏に先立ち同じ場所で行われた演説会でマイクを握った支援者が披露したのは、こんな実績だった。 「地域の産科医がいなくなったとき、世耕先生に相談したらすぐ近畿大学から医師を派遣してくれた」 おととし、この地域で唯一産婦人科のある「新宮市立医療センター」の産科医が退職し、市内で分娩できない事態に陥りかけた市は近畿大学と「包括連携協定」を締結。医師派遣が決まったという。近大の理事長を務めるのは世耕氏だ。和歌山2区には近大病院からの派遣医師で診療を続けられている医療機関が他にもあり、厳密には大学理事長としての“実績”だとしても、地元では一体として見る向きもある。 また、ミカンの一大産地として知られる有田市では、もう一つの主要産業だった「エネオス和歌山製油所」が去年、石油精製事業を終了した。跡地では、家庭の廃食油などから作られる航空燃料「SAF」の製造拠点になることが発表されているが、関係者によると、一度別の自治体に決まりかけていた事業拠点の“逆転誘致”に成功したという。地元は県関係の全ての国会議員に働きかけを行ったが、これも経産相経験者の世耕氏によるところが大きいとの見方がある。 道路やハコモノなどのハード整備を得意とする二階氏に対し、「困りごと」をソフト面でサポートする世耕氏という、長年培われてきた権力の棲み分けの構図が浮かび上がる。「目立った実績はない」(県連中村幹事長)との声がある一方、地元のベテラン自民党員は「世耕さんはあまり自慢したがらないので実績が見えづらいが『実はこんなところにも世耕』というのも結構ある」と話す。
■思わぬ3万票「大差」…遅きに逸した父・二階俊博氏の地元入り
「もう当選確実だ」「早い!」 投開票日の午後8時、報道各社が一斉に世耕氏の当選確実を伝えると、田辺市の世耕氏の選挙事務所に集まった約500人の支持者から歓声があがった。拍手で迎えられた世耕氏は「負託に応えて全力で中央で仕事をして参りたいと思います」とした上で、裏金問題に関しても「責任をもって政治資金の透明化にしっかりと汗をかいていく」と語った。 終わってみれば約3万票の差がついた。「仁義なき保守分裂」と全国的に注目を集めた選挙戦は、思わぬ大差で幕を閉じた要因はどこにあったのだろうか。