【ナゼ】“保守分裂&裏金対決”二階VS世耕に“意外な大差”がついたワケ…比例復活すら許さない圧勝劇の背景
“保守分裂&裏金対決”は世耕氏に軍配―。衆院選で全国屈指の注目選挙区となった和歌山2区は、参院から無所属で鞍替え出馬した世耕弘成氏(61)が、自民党の二階元幹事長の三男・伸康氏(46)を下した。ともに“裏金問題”の影を引きずりながら、結果は大方の予想を覆す約3万票の大差となった。 世耕氏の「大勝利」か、二階氏の「大惨敗」か…。現場を取材すると、“裏金問題”の是非を問う余裕などない、紀伊半島の深刻な事情が有権者の投票行動に影響を与えた構図が浮かび上がった。(読売テレビ報道局・和歌山担当:澤井耀平/解説デスク:髙橋克哉)
■二階氏陣営の怒りと焦り…動員で満員の演説会場に“隠れキリシタン”の疑念
「県民を分断するような大義のない戦いをなぜ選択されたのか。本当に残念だ」 公示日の第一声。和歌山県田辺市の海浜公園で行われた自民党の二階伸康氏の出陣式で、二階氏は、出鼻から世耕氏の行動を批判した。「当初言うつもりはなかった」言葉だそうだが、街を歩く中で、自民党支持者が自身と世耕氏のポスターを並べて張っている姿を目の当たりにし、「こういう(保守分裂の)状況で公示日を迎えたことについて詫びなければならないと思った」(二階氏)という。 二階氏陣営の恨み節は続く。選対本部長を務めた鶴保庸介参院議員は、世耕氏に和歌山1区からの出馬を打診し、断られたと明かした上で、「伸康氏の公認が決まった後に出馬表明をするのはおかしい」と非難。中村裕一県連幹事長は取材に対し、「世耕氏は26年間の実績があるとおっしゃるが、あまり和歌山のために活躍されたという印象はない」と切り捨てた。 ただ、こうした二階氏側の怒りは、焦りの裏返しでもあった。「10増10減」の選挙区調整で、定数が1減となった和歌山県。保守分裂選挙の現場となった新2区は、二階俊博元幹事長(85)が長年守り続けた旧3区に旧2区のほとんどの地域が加わった。当初から「旧3区で圧勝し、旧2区の知名度不足をカバーする」(二階氏陣営の県議)方針だったが、参院選で5回も県内全域を回った世耕氏の知名度は高く、目算は当初から狂い始めていた。 建設業や一次産業関連などの業界団体の推薦を早々に取り付け、「動員」をかけた演説会場はどこも人が集まる。ただ、姿を見せても票は世耕氏に入れる「“隠れキリシタン”がいる」(二階氏陣営幹部)ことは明白だった。
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