【ナゼ】“保守分裂&裏金対決”二階VS世耕に“意外な大差”がついたワケ…比例復活すら許さない圧勝劇の背景
世耕氏側についた首長の一人が指摘するのは、伸康氏の「セールスポイントの少なさ」だ。選挙区調整で新たに「地元」となった旧2区地域には、二階家が得意としてきたハード面の実績は乏しい。さらに、父親の二階元幹事長が最後のマイク締めにしか姿を見せなかったことも、結果として伸康氏に「凶」と出た。 陣営では当初、中盤以降で元幹事長の地元入りを検討したが、「来れば元幹事長の存在だけが注目され、誰の選挙かわからなくなる」(県連幹部)などの理由で見送られ、姿を見せたのは地元・御坊市で報道陣をシャットアウトして行われたマイク締めの演説のみであった。出席者によると、元幹事長は自身の政治活動への支援に対する謝意と、引き続き伸康氏への支援を要請したという。 85歳の元幹事長の年齢を考慮した対応だったかもしれないが、「バトンを渡す者と引き継ぐ者が二人三脚で回るのが最低限の礼儀だろう」(地元議員)との不評を買ったのも事実だ。“裏金”で離党した世耕氏と、政界引退した二階氏の息子という構図も争点化されなかった。
■大差の勝利も不透明な「復党」…「“百年戦争”の序章」との声も
即戦力を前面にアピールして念願の「衆院議員」となった世耕氏だが、無所属議員では経験と人脈はフルに生かせない。 周囲には“復党”の意思を示しているが、党から勧告を受け入れて離党したとはいえ、党執行部は参院で自民党が過半数を持たない中で地元を真っ二つに割って飛び出した世耕氏の「責任」を重く見る向きがあり、希望通りに早期の復党ができるかは不透明だ。 地元から「いずれは衆院で首相を目指して」との声があったとしても、無所属のままでは実現への道は閉ざされている。世耕氏の転身で空席となった来夏の参院選挙の候補者選定も急務となっていて、引き続き、伸康氏の去就にも注目が集まる。 その伸康氏は28日、「知名度不足を含めて浸透できなかったのは自分の責任」と語り、“次”を見据えて地元活動を再開した。伸康氏陣営からは「今回は二階家と世耕家の“百年戦争”の序章だ。20年後には伸康氏が円熟期を迎える一方で世耕氏は高齢問題を抱える」と息巻く声も聞かれたが、悩んだ末に世耕氏に一票を投じた自民党員からは、こんな悲痛な声が上がった。 「人口減少で課題山積の中、元幹事長と世耕氏の2人を一気に失うことはできない。裏金問題を厳しく問うたり伸康氏をじっくり育てたりしたいが、今の和歌山にその余裕はないはずだ」