女性に多い「カンジダ腟炎」。人に話しづらいお悩みやギモンに専門医が回答!
多くの女性が悩んでいるカンジダ腟炎。実は75%の女性が生涯で少なくとも1回は罹患すると言われています。今回は、身近なカンジダ腟炎にまつわるお悩みやギモンについて聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田 理事長・院長の八田真理子先生にお答えいただきます。 【写真】デリケートゾーンのケア方法&フェムケアアイテム
Q1.カンジタorカンジダどっちが正しい? A1.カンジダです。 八田先生: 正しくは“カンジダ”です。カンジダとはカビの一種であり、真菌の名前そのものなのですが、カンジダという響きが悪いため、カンジタと呼ばれることもあるようです。 カンジダのなかでも菌の種類がいくつかありますが、いちばん有名なのは“カンジダ・アルビカンス”というもので、腟内だけでなく、皮膚表面や腸管内に常在しています。 Q2.カンジダはSEXやオーラルSEXでうつる? A2.うつります。 八田先生: カンジダ菌は腟内はもちろん、口腔内や手指にも常在しています。通常腟内は、善玉菌である乳酸桿菌によって、病原菌から防御する“自浄作用”の役目を果たしますが、免疫力が低下していると乳酸桿菌の働きが弱まり、カンジダに感染することがあります。 また、咽頭カンジダ症などは通常は感染したところでも自己免疫によって増殖していくことはほぼありませんが、免疫不全やHIVなどに罹患していて免疫力が著しく低下している場合は、発症する可能性も高くなります。 Q3.カンジダの典型的な症状は? A3.痒み、白いポロポロとしたおりもの、ヒリヒリや熱感、排尿時・SEX時の痛みなど。 八田先生: 代表的なのは、猛烈な痒みと、白くポロポロとしたカッテージチーズや酒粕のようなおりものです。その他症状はさまざまですが、ヒリヒリと熱をもったように感じたり、排尿時・SEX時に痛みがあることもあります。 Q4.カンジダの治療方法は? A4.腟錠とクリームです。 八田先生: 症状を診れば、産婦人科医であればその場で判断がつくと思うので、腟錠を入れます。痒みが強い場合には、腟錠と同じ成分のクリームを併用します。 また、おりものシートやナプキンなどはつけずに通気性をよくすること、免疫力を上げることも大切です。 Q5.カンジダで痒すぎるときはどうしたらいいの? A5.基本は冷やしましょう。酷いときには、鎮痛剤も効果的です。 八田先生: まず患部を冷たいシャワーなどで冷やすことが効果的です。また、痛みと痒みを感じる神経は同じなので、痒みがどうしても酷いときには鎮痛剤を飲むのも効果的です。 Q6.カンジダを繰り返す人の予防方法は? A6.腟内フローラのバランスを整えることが大切です。 八田先生: 生理不順がある人の場合は、腟内フローラが乱れている可能性があるため、まずは生理不順を整えて、腟内フローラのバランスをよくしていくことが大前提です。腟内フローラを整えるためには、蒸れるような下着やおりものシートは避けて、乳酸桿菌であるビフィズス菌を増やしていきましょう。 また、タバコや電子タバコを吸っている場合には腟内フローラが崩れるので、まずは禁煙を。SEXの前後はもちろんのこと、日頃からデリケートゾーンの洗い方を意識して、外陰部のヒダの部分まで優しく指の腹で洗い上げ、汚れを落とすことも重要です。 Q7.カンジダ用の市販薬はあるの? A7.あります。 八田先生 過去に医師の診断・治療を受けた方を対象とするカンジダ腟炎の再発治療薬が、ドラッグストアや薬局などで購入できるようになりました。購入時にはセルフチェックシートにて必要事項の確認が必要となりますが、病院に行かずに治療できるのは助かるという声も多いです。ぜひ活用してみてくださいね。 お話を伺ったのは… 八田 真理子先生 1990年に聖マリアンナ医科大学医学部卒業。順天堂大学、千葉大学産婦人科学教室に入局後、関連病院での研修を終え、1993年より松戸市立病院産婦人科勤務。1998年「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開院。1975年9月に実父が開院した「八田産婦人科」を継承し、地域に密着したクリニックとして思春期から老年期まで幅広い世代の女性の診療・カウンセリングに従事する。女性のヘルスケアに関する相談会やセミナーへの登壇など通じて、性教育・不妊・更年期などの正しい知識の啓蒙にも積極的に取り組んでいる。 構成・取材・文/木土さや