低迷に苦しんだミスド、一時は店舗3割削減から復活にいたった戦略とは COOが明かした「1強」だからこその苦悩
「当時は昔懐かしいお店というイメージになっていた。われわれは老舗ではなくて、いつも新しいブランドになっていく必要がある。商品や店舗、広告を通して若年層が反応する業態に変えていこうと考えた」 商品開発では宇治茶専門店「祇園辻利(ぎおんつじり)」など、他社と連携した「misdo meets(ミスド ミーツ)」を展開。軽食需要に応える「ミスドゴハン」シリーズも始めた。店舗は黒を基調とした、おしゃれで清潔感が伝わりやすいデザインへの改装を進めていった。 テレビ向けがほとんどだった広告は若い世代の目に留まるよう、X(旧ツイッター)やインスタグラムなどのSNSやユーチューブといったインターネット向けの割合を3割に増やした。 「購買層が変わらないという課題はずっとあったが、30~40代に焦点を当てて取り組んできたことへの成功体験があった。思い切って変えていくという判断にはなかなか至らなかったが、業績が悪化して『次の手は何だ』と考えたときに、経年の課題をつぶすということに動き出せた」
▽圧倒的シェアだからこその悩み 改革に乗り出した中、コンビニ大手がドーナツ市場に参入してきた。新たな競合相手について、どう考えていたのだろうか。 「マーケットが広がることはポジティブに受け止めていた。それまで世間にドーナツという単語を出すのが、私たちにしかできなかった。いろんな競合が入って日常食になっていくことは私たちにもメリットが大きい」 ミスタードーナツは国内のドーナツ市場で8割と圧倒的なシェアを誇る 。和田氏はインタビューの中で、1社だけで市場を広げていくことの難しさを繰り返し強調した。 「パン業界ほどの規模になれば機械の開発などでいろんなメーカーがバックアップしてくれるが、それがないというのは苦しかった。ドーナツ市場に1社しかいないというのは、非常に不自由に感じていた」 ▽取り組み奏功、業績回復 若い世代を取り込む効果が2019年ごろから出始めた中で、新型コロナウイルス禍に見舞われた。商品の衛生管理を強化することで、なんとか営業を継続できた。