八失人員、夜騎大軍、上岸、単身狗、白菜価…「2024隠語ベストテン」に見るトホホな中国
9. 白菜価(バイツァイジア)
直訳すると「白菜の価格」。だが、これは野菜を指す言葉ではない。白菜は縦にすると、ヌーッと細長く立つ。そのため、マンションを白菜に見立てているのだ。 不動産バブルが崩壊し、マンション価格の下落が止まらない。それに対し、政府はこのところ、立て続けに対策を打っている。 5月17日の国家発展改革委員会などの「4つの改革」、9月26日の党中央政治局会議の「3つの新措置」、10月12日の財政部の「6つの措置」、10月17日の住宅都市農村建設部の「4つの取り消し、4つの引き下げ、2つの増加」、11月8日の財政部の「10兆元(約210兆円)の緊急財政支出」……。 だがそれでも、マンション価格の下落は止まらない。直近の10月の「70都市新築商品住宅販売価格」は、前月比で+7都市、-63都市。同じく「70都市中古住宅販売価格」は、前月比で+8都市、不変3都市、-59都市だ。 そこで、「このままではマンション価格が白菜価格と同じになってしまう」という笑えないジョークが、「隠語」となって流行している。
10. 献忠 (シエンジョン)
おしまいは、黙示録のような言葉である。明代の末期に、張献忠(1606年~1647年)という農民反乱の頭目の一人がいた。明代から清代に代わる乱世に決起し、いまの四川省を占領して大西国を名乗った。 その時、従わない人々を片っ端から虐殺し、恐怖に陥れた。その様子が、上記1の「報復社会」に似ているということで、無差別殺傷事件が起こると、「また献忠が現れた」などと囁かれる。 だが、それが高じて、「もしかしたら2024年自体が、明末と同じでは?」と、広義にも「献忠」が使われるようになっている。 2025年「乙巳(きのとみ)」は、もう少し明るい流行語が増えるといいですね(ため息)。
近藤 大介(『現代ビジネス』編集次長)